第三章 烏合の戦場
①裏切りの夜明け
世界が
煮えたぎった
身体は
まるで生きながらにして死んでいるような
横になっているのか、はたまた立っているのかすら
この
「シノ殿! しっかりしてくだされ!」
「大丈夫でございますか」
「……死にそうだ」
完全に二日酔いの症状である。
できることならこのまま
だだをこねる身体に
「わっ」と声をあげてネズミがころころ転がっていく。
足もとが
五日間の
どうやらここは船の一室らしい。
わだかまった
とんだ
「なにがどうなってんだ……」
彼だけではない。
この部屋に押し込められている数十人の青鬼たちもまた、似たりよったりのありさまである。
「乗っ取られちまったのさ」
そばにいた船乗りらしい初老の男が、苦々しく声をひそめた。
他はまだ混乱を隠しきれない様子で、ただでさえ青白い顔をさらに青くわななかせ、
なんとも見覚えのある光景である。
違うのは、今回は
最悪だ。
「裏切り者がいやがったんだ。島民のふりをして、
「ああ、なんとなくそんなこったろうと思った」
状況を見れば
ここ数日の苦労や歓喜がすべて振り出しに戻された気分で、
それもこれも調子に乗ってアホほど飲むから……。
否、過ぎたことを悔やんでも仕方がない。
「海賊の手先とは失礼な」
捕らえた獲物を監視するように壁へ寄りかかっていた男が、
「我々は本国から
島の食堂でレイラと言葉をかわしていた、
彼の他にも、島民として見かけた顔の青鬼たちが数人、半月型の
混じり者の男が、剣の
部屋のそこかしこから、ハッと悲鳴じみた
「
ただじっと
「恐怖で声も出んか」
「――いや、美味い酒がもたらす快楽とその
「なにをわけの分からないことを言っているのです!」
どこからかネズミのまっとうな
しかし
命か、
しかしそんな個人的な
「貴様っ」
その時だ。
「なにをしているの、ダネル」
「
「そうか。おい、ただちに準備に取り掛かれ」
男の指示を受けて見張り役の青鬼たちが部屋から出ていく。
「なんでテメェがそっち側にいる」
「馬鹿ね。私はもともと
冷めた表情で男の横へ並び立つ青鬼の少女――レイラに、
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