⑩泳ぐ極楽島
島の内部は巨大な
首が痛くなるほど高い壁面には、広間をぐるりと取り囲む回廊が何層も重なり、その奥から
いたるとろこに大小様々な装飾品が飾られ、それぞれの通路の境には、鮮やかな織り目の布が空間を遊ぶように垂れさがっている。
丸五日もの間、白と灰と黒が
チカチカと目に飛び込んでくる濃密な極彩色の光景に、しばし三人は圧倒された。
大規模な洞穴をあますところなく明るく照らす個性豊かな照明器具には、光源として火ではなく、光り輝く石が置かれていた。
やわらかな太陽の木漏れ日のように温かいそれは、光の質こそ違うものの、赤鬼の砦で見た白い月の石と同じである。
「こいつは……」
「
キラキラとどんぐりのように大きな瞳を好奇心で輝かせて、トトが言った。
「
「ほー、結構な優れモンじゃねえか」
皮肉屋な彼にしては珍しく、
夜間を主な活動の場とする忍者にとって、光源は無くてはならない必需品である。
ゆえに、
ひとつ手に入れられないだろうか、とさもしい画策をしながら、それよりももっと肝心な情報が含まれていたことを、機をみるに
「つーことはだ、アンタらは西の大陸への行き方を知ってんだな」
「あ!」
旅の進退を左右する重大な指摘に、トトとレイラもハッとして島の
「…………」
にわかに、両者の間で期待と
しかしながら、答えは疑うべくもない。
洞窟内の照明はほぼすべてこの
その数は膨大で、彼らが西大陸を頻繁に
「左様。いかにも我々は
「!」
「明日の明朝に交易の船が出る。もしお主たちが
「本当に!?」
「本来であるならば、
渡りに船とはまさにこのこと。これまでの苦労がすべて
「ありがとうございます!」
トトは小さな体を礼儀正しく折り曲げて、心の底から感謝を示した。
それに軽く手をひらめかせ、島長は深く
「朝までゆるりとなされよ。
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