⑨青鬼の老爺
あっさり倒れた魚人たちを見て、うむ、と
――悪い癖である。彼の脳裏では、すでに
「シノ殿!」
「よォ、
しれっと
一方の
「アンタ来るのが遅いのよ!」
「助けてやっただけありがたいと思え」
妙に熱がこもった、怪しい視線である。
「なァ、ちっと
すいっと指を前にさし、
「アレは食えるのか?」
「…………え、」
しん、と水を打ったような静寂がおとずれた。
「え?」
敵味方
しかし
普段ならばこんな発想はしないだろう。
しかしいかんせん、腹が減っているのだ。
人に似た胴体部分はさすがに
「ちょ、ちょっと、あんなうねうねしたの、食べられるわけないじゃない」
「なんだ、鬼の国ではタコを食わんのか? 美味いぞ」
ドキリ、と魚人たちの肩が
「お、お待ちくだされ。さすがに、知性ある種族を
「そう、よね。さっきしゃべってたし、立ってるし……」
「なら
中には自分の足を隠そうとしている者もいるが、狙われているのはそっちではない。
レイラたちも、ことさらやめさせようとはしなかった。
「やめんか!」
突然、雷鳴のような大声が
広場のむこう側に、ひとりの老人が立っている。
額に細い一本角があった。青鬼である。
「この者たちは敵ではない。武器をおさめろ」
彼らの
片眼に大きな傷のある厳格な
「無礼をわびよう。見慣れぬ
穏やかな言葉とは裏腹に、老人の
これ以上ことを構えるな、と忠告しているのである。
「
「いやはや、
老人のもとへ居並んだ魚人たちが、その頭部をずるりと
その正体は、化け物に身を
「
ふいに、島の側面にあった大岩が、
巨大な空洞が姿を現し、中から
「――歓迎しよう。
「なぜそれを!?」
トトが驚きに目をみはった。
小船を
(このタヌキ
見知らぬ他者の本質を見極める
とんでもない先制攻撃からの
「ここは本国より逃げてきた
トトとレイラが、わっと
よく無事だったな、と再会に水を差すようなことは、さすがに言わずにおいた。
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