⑧卑賤の青鬼
(なんだ、これは……)
無慈悲な鉄柵の牢獄に、数十人もの青鬼が捕らえられている。
首にはさびついた太い
牢の外側では、三人の赤鬼が金棒を片手にうろついていた。
仲間割れか――と思ったが、どうにも様子がおかしい。
そもそも、赤鬼も青鬼もどちらも鬼であることには違いないが、その
筋骨隆々な赤鬼に対し、青鬼の四肢は
もともと細い体躯なのだろうが、ひどくやつれた風貌もあいまって、今にもぽきりと折れてしまいそうな印象を受ける。
彼らはあきらかに弱者であった。
事情などなにも知らなくとも、彼らが
(なんだこれは……)
服装も露骨である。ズタ袋のような薄い衣しかまとっていない青鬼と、上等な皮や金具を幾重にも身につけた赤鬼。
青鬼たちは一様に下をむき、身動きすることすら恐れるように、震えながら肩をよせあっている。中には泣いている幼い子供もいたが、奇妙なことに声をあげることなく、わずかな
東雲は
――不快であった。浮かれていた心に冷や水をかけられたような気分だ。
忍として生きてきた
ゆえに、この感情の揺れは、青鬼を哀れに思ったからではない。
ただ、無性に気に食わなかったのだ……。
先ほど見た光景は、
人が人を
(――いけ好かねェ……)
自分を縛り、あまつさえ死においやった理不尽が、ここでもまかり通っている。
あの光景を目の当たりにした瞬間、地獄の恐ろしい化け物という認識だった赤鬼が、憎き伊賀の上忍と重なって見えたのだ。
それが感傷からくる錯覚だとわかっていても、湧きあがるイラだちを正すことすら
すっかり
(しょせん、
死後の世界で目覚め、歓喜に震えた気分は見るも無残にしぼんでいた。
こんなところ、とっとと出て行ってしまおう。
先ほどとは似て非なる心持ちで、
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