第8話 『※7話 ケンカを売られる』

『※7話 ケンカを売られる』



◇冒険者ギルド




 冒険者ギルドに到着後に冒険者の後から入ると、中には先ほど来た時と比べて、人数は多く、受付けの前に集まりがある。


 目は非常に興奮したもので、武器を握る手には力が入るの直ぐにわかった。




「タケダ様、皆さん集まってますね……」


「受付嬢が話をしそうだ。聞いていたら集まる理由がわかる」




 受付嬢は冒険者を前にして緊張している様子にキアラ姫は感じているようだ。


 冒険者に重大な話があるかのようで、内容が知りたいとなり話す内容に集中した。




「冒険者の皆さん、集まっていただき感謝します。ギルドから流した情報は確かのようです。国の調査隊が掴んだ情報ですから間違いないでしょう。内容は緊急クエスト、Bランク魔物フェンリルの討伐とします」


「おお、フェンリルだってよ、有名な魔物だ!」


「Bランクだろ、倒せば俺はAランクになれるぜ!」




 受付嬢の女性が話した内容は緊急クエストで、冒険者はその情報を噂で聞き集まっていた。


 対戦する相手はBランク魔物フェンリルと伝えると、冒険者はいちおうに活気が溢れ、両手を上げて喜ぶ者や、口笛を鳴らす者や、拍手をする者もいる。


 逆に怖がる者もおり、フェンリルを望む声が圧倒的に多かった。


 フェンリルは魔物としては有名、冒険者なら一度は聞いた名前。


 俺もその名は当然に知っていて、そう簡単に倒せる相手ではないのもあるが、冒険者の活気には注目した。


 


「タケダ様、緊急クエストらしいですね、魔物フェンリルです。私でも名前は知っています。危険な魔物として。フェンリルが居るなら別の国か遠くの町に移動しましょう」


「いや、残る」


「冒険者に任せたらいいのに」


「冒険者達は、みんなフェンリルが近くで出現したと聞いて集まったのだろう。そして我こそが倒すとばかりに意気込んでいる」


「放置したら王都も危険に?」


「放置したら暴れる。王都は陥落するだろう」


「冒険者が大勢いるし負けるわけない。人数集めれば」




 ギルドに集まった冒険者のランクがどれほどなのかを俺の鑑定スキルで行う。


 思ったとおりで、レベルは初級者レベルの一桁から、中級者レベルの10から25レベルまでくらいが限界で、とてもフェンリルに勝てる者は少ないと感じた。


 王都がフェンリルの気分しだいで、めちゃくちゃになるのが予想でき、無視するか助けるか考える。


 キアラはと言うと、フェンリルの名前くらいしか知らないが、冒険者の数の多さと勇敢さがある限り負けないと思っているが甘い。


 


「緊急クエストに参加希望の方は、こちらに集まりください。しかし大変に危険な魔物ですので、命の保証はしませんが、討伐したらAランク冒険者へランクアップします」


「へへへ、これは大チャンスだぜ!」


「フェンリルを討伐だぜ!」




 冒険者は受付嬢の言葉に一喜一憂し、集合場所に集まる。


 Aランクに昇格される大チャンスだからだ。




「Aランクになるのが、そんなに嬉しいのかしら」


「まぁな、普通に冒険者をしていてもほぼ無理なのがAランクだ。俺はAランクだったからこそわかる。みんなの気持ちは良くわかるが、それだけに危ない」


「やっぱり移動しましょう!」




 冒険者が奮起しているところに受付嬢から声がかかり、




「タケダでしたね、あなたはこの緊急クエストを受けるのは無理です。あなたのランクはFランク、とても無理ですし、最低でもDランクを奨励してます」


「俺は受付けしてくれないと……」


「はい、これはタケダのことを思ってのことです。行けば死にますし、みすみす死にに行かせるのを止めるのもギルドの仕事ですから」




 俺は受付嬢から却下されたらしい。


 確かにFランクならギルドは却下するのは当然だった。




「あははははは、Fランクだってよこいつ!」


「行かないほうがいいぜ、兄ちゃん、死ぬぜFランクじゃ!」




 今日受付けしたばかりで、尚かつFランクで登録をしていた俺には無理だと判定されると、集合していた参加の冒険者は、俺の方に向かい、笑いだし、中には指を指して笑う者もいた。


 笑った冒険者の多くはDランク以上の持ち主とFランクよりも実力が上と自信があった発言だった。


 俺的には馬鹿にされようが構わなかった。


 しょせんは俺よりも遥かに劣るランクの者にケンカを売るほど暇はない。


 そんな時間があるなら、コメの農作業をしたいくらいだ。




「笑うなんて失礼です。この人は勇者な……」


「キアラ」




 Fランクとなったのは俺の本当の能力値ではない。


 魔水晶を壊したことから、Aを遥かに超えたランクなのに隠しているのだが、そこを何も知らない冒険者に笑われる、しかもみんなから、我慢できなくなったらしい。


 キアラはつい勇者の名を口にしたところ、そこで止めさせ、勇者の名は伏せさせ、あくまでFランクのタケダでフェンリルとのクエストに行くと言う意味をキアラ姫に送る。




「す、すみません……つい、言いそうになるの」


「笑わせておけばいい。俺は構わない」




 すると一人の冒険者が寄ってきた。




「俺はトニック、お前の名前は?」




 冒険者のひとりであるトニックは立ち上がると近くに来て、新米冒険者に言うような上から目線で言った。




「農民のタケダだ」


「俺は冒険者レベル25。王都でも指折りの冒険者だ。美少女の子と一緒に俺の後ろで見ていろよ農民……あはははは」


「あははははは、こりゃひでえ。トニックもっとやれ!」


「な、な、な、何を辞めなさいっ!」




 トニックは手にグラスを持っていて水が入っていたのを、俺の頭に近づけると、頭上から水をまいて、頭から上半身をかけられた水でびしょ濡れになってしまった。


 大笑いが起きたのを見たキアラが怒ったのだった。


 かけられた俺は怒るかと言うと全く動じずにトニックに対して手をあげることもなく、黙って耐えていた。


 まさか頭からかけるとはな。




「……タケダ様……が、ずぶ濡れに」


「俺は心配ない。拭いてくれ」


「はい」




 布巾がありキアラに渡すと、濡れた髪を拭いて、乾かしている時に俺はトニックと目が合う。


 トニックはニヤニヤと笑っていた。


 


「せいぜい俺の邪魔はするなよ農民タケダ、あははは」


「…………」


「トニックだけじゃない。私達もいるのをお忘れなく」


「おお〜ダイアちゃん。美人だな〜」




 トニックの隣に座るのはダイアらしい。


 鑑定すると、攻撃魔法使い。


 冒険者レベルは20を超えてトニックに次ぐ高レベル者であった。


 美人なのは当たっていたが、性格は美人には思えないが。


 


「俺らも忘れるなトニック、ダイア」


「ほぉ〜スマッシュか。お前らも参加組か」




 スマッシュも鑑定した。


 ガタイのいい体を持ち、体重は100キロを楽に超え、パワーなら誰にも負けないだろう。


 今回のフェンリル討伐に参加するために来たようだが、両手に肉を持っていて戦う気か?


 他にもフェンリルを狙う強者が集まり、トニックには負けない、先にフェンリルを討つという考えの者がおり、フェンリル討伐に向けた戦いはすでに始まっていた。


 キアラだけはトニックに強い感情を持っている風だ。


 










◇平原(三人称)




 魔王の幹部であり、世界にいる魔物の上位にいるフェンリルは平原で暴れていた。


 体の大きさは、馬車より大きく、体重は重く、人なとば踏まれら、重体は必死であった。


 鍛えられた冒険者でも体当たりされたら、体の骨は簡単に折れてしまう強さも持っていて、足の爪の強さは特別に強く、一回爪でひっかいたら、盾も役に立たない強さは、ムイト国の調査隊のチームを軽く犠牲者にしたほどだった。


 調査隊が冒険者ギルドに報告をした時には、ギルドはショックを受け、直ぐにBランク魔物フェンリル討伐の緊急クエストを号外したのだった。


 なにしろ魔王の幹部というのは有名だったからだ。


 フェンリルは軽くジャンプしてみせると、前足の爪を出し、爪で土をひっかいた後に、地面はえぐり取られてしまう。


 地面には大きな深い溝が生まれ、何もなく平坦な平原に突然に長い溝が出来る。


 溝は深いため、人が反対側に渡るには降りていき、登らないと無理で、降りて登る体力はかなり必要がある。


 フェンリルは溝を作ったのは理由はなく、冒険者を近寄らせたくないためでもなく、単に暇だったからで、暇つぶし程度であったが、冒険者からしたら、災難でしかないだろう。


 フェンリルは遠吠えをしてゆっくりと立ち去っていった。












◇ムイト国 平原




 フェンリルの出現し暴れているとされた地点の詳細は受付けから伝えられる。


 王都から離れた平原とされ、フェンリルが単独一匹のみとし、向かう冒険者の数は50人と数では圧倒的に勝る。


 その他にも騎士団が王都の防衛にまわるとされた。


 狩るのは冒険者に任せて、守備は騎士団が担当すると聞いた。


 先頭を歩くのはトニックで、自信満々で歩き、ダイアとスマッシュも後方へと続いていく。


 俺は最後列につき、ゆっくりと歩いた。


 平原に向かう途中にも魔物が出現して、俺の手を汚すことなく魔物は、前列にいる冒険者が刈り取ってくれ楽に進めた。


 平原へまだ着かないでいるときに列の歩く速度が急に遅まり、しだいにゆっくりと停止してしまい前方で何かあったのかと思った。


 


「タケダ様、列が停止してしまいました。前の方で何かあったのかな、それともフェンリルが現れたとか……」


「フェンリルが出現したならもっと騒ぎになっているだろう。違う理由だと思うし、前に行ってみよう」


「はい」




 50人が列をなして徒歩しているので前が止まれば最高尾にいた俺も停止することになる。


 気になったためキアラとともに前列に様子を見に行くことにした。

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