第7話 『※6話 城の復元』
『※6話 城の復元』
◇城
俺とキアラは国王と一緒に城まで戻ることにした。
「間近で見ると確かに酷い壊れよう、床はなく、壁も壊れて中が丸見えだし、瓦礫の山だし、もはや作り直すよりも最初から作ったほうが早いのでは」
「俺もそう思う」
「納得しないで!」
「俺にはモチがある」
「ドラゴンに襲われた後みたいだわ……」
「ドラゴンよりも恐ろしい存在だタケダは」
嘘ではなく本当にドラゴンよりも怖く感じていた。
「タケダ様。お願いします。多分無里だと思いますけども」
キアラが俺にお願いして始める。
「アイテムボックス、モチハウス」
ミネイロ国王からモチを使う許可を得た俺は、城での使用から再びアイテムボックスへと検索し、モチを取り出した。
スキルでもあるアイテムボックスを見た兵士はまたも驚きだった。
「アイテムボックス使いだ!」
「……何度見ても恐ろしい兵器だ」
「兵器じゃないモチです。モチハウスで城を復旧します」
「モチハウス、復旧……よくわからんが頼む」
「タケダ様、お願い」
モチハウスは俺がモチを連続して発射し作れるのが目的であったが、強力な能力を秘めている。
モチハウスを使うとアイテムボックスから多量のモチが現れて、モチが発射されると城の壊れた部分にモチが命中していく。
またそこへモチが積み重なるといった具合、レンガを積むみたいな感じでモチが重なる。
「タケダ様。モチは城を破壊してませんか!」
「大丈夫だ。破壊ではない。逆だ」
またも攻撃したのかと声を上げたが直ぐに俺が帳消しした。
モチは城に激突すると城を破壊するかと思われたが、モチは激突したのでなく、城の壊れて露出された壁、砕けた床、崩れた天井に、綺麗に積まれていった。
モチがレンガのように整列した形で形成され、人がレンガを積むのよりも圧倒的に速い速度で、城を復旧していき、国王、兵士が見てる前で城の壁は復旧されて元の城に戻した。
国王からしたら驚きとしか言いようがなく、何百人を集めて一年もかかるはずの作業がたった数分かからずに終わってしまったのだった。
つまりはモチを建築材の石として建築してしまったわけだ。
「…………これは、凄い! あり得ないが復元しているぞ!」
「もう絶対にあり得ません!」
キアラは驚いてしまいまたもエム字開脚の姿勢になっていた。
「だから言ったろ。モチは建築にもなると」
「もう城が元の姿になった、さすがタケダ様です! モチが石の建築材の代わりになっているのですね、けど強度とか大丈夫なのかな」
「粘着させてあるから強度は問題ない。わからないなら、後でキアラに液体で粘着を教えてあげよう」
「ね、ね、粘着! い、い、い、いいえ、しなくていいです!」
モチの強度について、後で崩れたり、倒れる原因になったりしないか、その点を俺に問題提起した。
粘着について、モチの性質で問題ないという意味で言ったのだが、キアラは違う意味の粘着だと勘違いしており、顔を真っ赤にして断る。
「もう完全に建ててある。城が最初の城に戻った!」
「壁だけじゃない。内部も完全に復元してある」
「食材のコメから作ったモチが、それで石を使った建築と同じ効果があるのか。復元したといっても所詮はコメのモチであるだけに、例えば雨に濡れたらコメだけにふやけて弱まるのでは、コメだから火に燃えるのでは、矢が飛んできたら簡単に貫通するのでは、剣で切れてしまうのでは。全部を耐えきれるのか?」
「強度は石よりも強い。なぜならモチに火、水、風、雷にも負けない、元の石以上に強いのがモチ。よってドラゴンの攻撃を受けても破壊されることはないし、崩れることも二度とない」
「ええっ! ドラゴンよりも強いの!」
考えていた以上に、それもあらゆる種の中で最強種でもある竜族レベルに強いと知らされてミネイロ国王は驚いている。
なぜなら農民レベル999になっていて、モチは究極的に硬く作るのを可能にした。
「タケダ様、ドラゴンにも勝てるとは凄い!」
俺のモチハウスを褒めるのはいいが、いい加減にエム字開脚を直す方が先だろう。
仮にも姫なのだから。
「モチハウスならこの程度はできる。コメの実力だ」
「モチハウス……あなたはいったい何者なのか。これ程の能力者が無名なのは変だ。世界中にタケダの名が知られているはずだ、しかし我がムイト国では無名だったぞ」
「俺は農民。コメを耕しているコメ農家それだけだ」
「コメ農家……こんな偉大な農民は初めて見た。農民なんてどこにでも居る。野菜やコメを作るだけで、魔物を倒すのも出来ない、最低レベルの職種だぞ」
「いいえ、農民は偉大です。国王が見たのがその証拠。決して農民は他の職種に劣らないです。俺は農民タケダ、今後ともよろしく」
「助かったタケダ。とりあえず城は安心したので、ムイト国に残る話は無しだ」
「わかりました」
ムイト国の城は完全に、しかも以前よりも強度が強く、あらゆる魔法にも耐性のある、この時点で世界最強城へと生まれ変わったと思う。
俺に国に残れという話はなくなると、ミネイロ国王とはそこで別れてキアラと、この後にどこに行くかを考えることにした。
「ハクサン国に帰るか?」
「そうですね、父の国王と姉のシオンにも報告はしないといけないが、婚姻関係を勝手に解消したなんて言えない立場かな。きっとシオンは怒るでしょう」
「それと俺は国王と顔を合わせたらアマルフィだとバレるだろう」
「アマルフィだとわかったら、タケダ様が脱走者となり、面倒ですよね」
俺を地下牢に閉じ込めたのが実の父親であるから、俺には申し訳なく思っている風に言った。
「しばらくはキアラの父と姉には会わなくいいとしよう。まぁ俺の家は辺境の田舎だから、誰も来ないので二人で暮らせばいい」
「二人で、暮らす……ああああ」
二人で暮らすと言われてキアラ姫はまたも顔を赤くして、照れているのが伝わる程であった。
◇ムイト国王都
「それと、歩いたのもあって何か飲みたいの、あそこのお店に入りましょうよ」
「俺も飲む」
キアラが会話の中で喉がかわき、飲食店に行くたいと言い出し、俺も同じように飲みたいと思っていたから、お店に行きドリンクを頼む。
二人で座りながら喉を潤していた時のこと、急に慌ただしい動きが目に入り、俺の前を走る人が多くおり、男性が多く冒険者らしき防具をしていて、その行き先は行ったことのある冒険者ギルドのある方向でもあり気になった。
「何か町が騒がしいな」
「私も思った。たぶん冒険者みたいだけど。走っているのを見ると火事かな」
「冒険者が騒ぐのは何か理由がありそうだ」
「どうします、行ってみますか?」
「全部飲んだら行こう」
とりあえずはテーブルにあるドリンクを飲み干してから冒険者を追いかけるとし、キアラが飲んだので後からギルド方面に向かう。
冒険者達の多くは予想通りにギルドに向かっていて、ギルドの中に入って行くのを確認。
何かありそうだなと予感がしていて、何なのかまではギルドに入ってみないことにはわからないが、ギルドとあれば魔物が考えられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます