第6話 『※5話 魔水晶の結果は』

『※5話 魔水晶の結果は』



 魔水晶に手を置く俺は限界まで自分の能力値を下げて値をはかることにし、なるべく初心者を振る舞うよう、何もわからない振りをする。


 キアラといる生活ならば今後のことを考えて冒険者登録しておく。


 ギルド内には俺を何も知らない初心者だと思う冒険者達が見ていて、予想はランクFだろうと言い合っているのが耳に届いた。


 実際に魔水晶を試みる冒険者の多くはFランクであるから、予想が間違っていないのと言えたなかで魔水晶に触れてみる。




「魔水晶の結果は色が変わるので、タケダの色で判定します。Aは赤、Bは青、Cは緑、Dは紫、Eは黃、Fは白です」




 色の変化はもちろん知っており、以前は赤であったが、限界まで下げてあるから、F、もしくはEの黃にする予定であって、一定時間が経過したら、魔水晶に変化が起きた。


 色の変色が始まったからで、魔水晶の表面の輝きが変色し最初はガラスのような色をしていたのに白、黃、紫、緑、青、赤と色が変わるとキアラは元は勇者だが最小限に抑えるといったのが本当に抑えられているのか不安そうに俺を見た。


 俺もまた大丈夫かと同じく不安になっていた。


 受付嬢に至っては俺を素人冒険者だとばかり思っていたから、白のFランク色で判定は終わりだろうと、しかし魔水晶は終わりにならず受付嬢の顔に緊張がみなぎる。


 


「…………まだ変色の判定が終わらないようですが……」




 俺が終わりにしてもいいと思って言った。




「ちょっと……何か変じゃない?」


「……割れてきている!」




 受付嬢も不安になり出した時に魔水晶に異変が起きて、ガラスの表面にヒビが入ったからだ。


 今までヒビなど入った経験は過去にないと聞いていた。 有能な才能がある人でもAランクの判定であるからだ。


 これはなんなのかわからないで見ていたら、魔水晶は大きな音とともに割れてしまったのであった。




「…………割れてしまった。すみません」




 俺は魔水晶を割ってしまい申し訳なさそうにして謝る。


 割るつもりはなかった。




「こ、こ、こんな、割れるなんてあり得ません! どんなに高い能力値の人でも割れたなど聞いたことないです! どうなっているの!」


「俺にもわかりません」




 最小限に能力を抑えて手を触れたのは確かであったが、最小限でもAランクを遥かに超えた能力値であって、魔水晶が耐えきれなかったために、割れているしまったのだった。


 受付嬢は意味がわからなくて混乱していた。


 キアラは俺にだけ聞こえる小声で、




「最小限に抑えてやるというのは……」


「抑えたつもりだったが、魔水晶が耐えきれなかったみたいだ」


「…………そんな」




 俺に説明されて納得したキアラだったが、なんて言い訳したらいいのか悩んでいた。




「あはははは、魔水晶がもう古くて傷があったのでしょうね……」




 受付嬢は笑うしかなかった。




「俺をFランクの登録をしてください、受付けさん。きっと割れていたからです。普通にFランクでお願いします」


「わかりました、Fランクで登録をします」


「お願いします」




 魔水晶が割れてしまったが、とりあえずFランクでの登録をして、ギルドへの登録を終えた。


 周りにいた冒険者達は俺の魔水晶での行動を全て見ていたのであって、通常ではない結果に会話が途切れていた。


 魔水晶の結果での登録はハクサン国、ムイト国とも世界共通に使える利点があり、タケダで一度登録をしておけば困ることはなく、どこでも通用すると説明も受ける。


 まさか俺が伝説の勇者アマルフィだと誰も思うはずもなく、アマルフィはムイト国でも同じように田舎暮らしをしていると伝えられ、そのおかげで疑われずにギルドを後にした。


 










◇王都




「魔水晶を割るなんて聞いてませんよ!」


「本当に割るつもりはなかった。素材が弱いのだろう」


「タケダ様が、魔力あり過ぎたのよ!」




 ギルドでの登録を無事に終えて俺的にはFランクで登録できたから良いとした。


 これからどうするかと考えていたら、俺の前にムイト国のミネイロ国王と兵士が立っていて、通り道をふさいでいるよかのようだった。




「タケダ、話がある」


「なんでしょう。結婚式の話ですか」


「いいや違う。城の件だ。あのような城の姿になった以上は、新たに建築し直す必要がある。国防の必要上、もし魔物が襲ってきたら、この城では防御できないのはわかるだろう。そこで城を修復することが決まったが、修復が終わるまで王都にいて欲しいのだ。タケダレベルの魔物が来ることはない。だからタケダがいれば魔物が来ても安心なわけだ。できるか?」




 ミネイロ国王の話は俺に王都に滞在していろとの欲求で、理由は城が壊れたから復旧するまでの間でいいから滞在しろというものだった。


 俺の能力の高さを思い知らされた国王の考えであろうが、迷惑そうな言い方。


 ミネイロ国王の会話中に城を見ると、確かに建築し直す必要があるほどに半壊しており、モチメテオでの破壊力が原因だった。


 国王の顔を見ると俺に責任を取れと良いたげだ。




「長い滞在は遠慮したい」


「できぬか……」




 あっさりと断られるとミネイロ国王は苦しい顔で言った。


 キアラは責任を少し感じてしまいタケダに、




「タケダ様が壊したのですから、少しは協力してもいいのでは。かわいそうです」


「そうか……かわいそうか」




 キアラに言われて、やっとミネイロ国王の気持ちを考えに至る。




「城の復旧はなるべく早くするから、それまで魔物を見張っていて欲しい」


「魔物が困ると。早い話は城が直ればいいのだよな」


「直ればいい……まぁそうだが、ムイト国の全ての建築技師を集めても最低でも一年はかかるが」


「一年も要らない。一日あればいい」


「一日?!」


「タケダ様、一日って意味がわからないです!」


「十分だと思うが」




 キアラ姫は一日でいいという意味がわからないでいて、馬鹿にしている風に思えたらしい。




「相手は国王なのだから、ちゃんとした態度であるべきよ。嘘をついたら問題になるから!」


「一日てのは俺がひとりで直接建築するて意味だ」


「はぁ? もっと意味わからなくなりました。タケダ様がひとりで建築して一日で作れるはずないでしょう!」


「彼女の言ったのに共感。意味がわからない」




 ミネイロ国王は俺の言ったのが嘘にしか聞こえないよう。


 デタラメを言っている、大ホラ吹きとも思えてならないのか。


 しかし俺がその様な嘘を言う必要があるかと言えば特にないわけであった。




「俺のモチで城を建築するてことだ。要は城を破壊する前にしたらいいのだよな。モチで建築するから許可してくれ」


「モチてのはなんだね……」


「モチは農民が作るコメから作ったもの。モチは武器にもなるし、建築にもなるし、食料としても美味い。偉大な農産物だ」


「お前は国王である私を馬鹿にしているのか。コメで城を作るなど認める国王が世界のどこに居る」




 怒りを抑えながら国王は言った。


 けど俺はこれ以上上手く説明できない。




「ミネイロ国王、モチとはあなたの城を破壊した白いモチです」




 モチが何だか知らないミネイロ国王は、直ぐにおもいつかなかったが、キアラに言われて、モチの破壊力を思い出してした。


 天井は破壊、床はぶち抜き、兵士は落下する、まるで悪夢であった、あれがコメから作られたモチだとわかった。


 わかった途端に恐怖心がミネイロ国王の中で増大していったのか顔色が真っ青になった。




「あれがモチか。止めてくれ、あれだけは二度と使わないでくれ!」


「怖がっているみたい」


「大丈夫ですミネイロ国王。モチは破壊だけでなく復旧にも使えます。信じてください」




 キアラの言うようにミネイロ国王の顔が見る間に青ざめていくのがわかり、さすがに心配になると、安心させたく信じてと言った。




「……信じていいのかキアラ姫」


「はい、信じてください。タケダ様は、決して悪いお方ではないのです。しかし直せるとは思えませんが」


「城の件は忘れてくれ」


「忘れてとか無理な気もするが…………わかった信用しよう。モチとやらを頼む」


「はい」




 忘れてくれと言われてもは忘れようがないミネイロ国王だったが、キアラがかなりお願いするし、タケダの能力なら本当に一日で復旧も不可能ではないなと感じた。


 可能性に賭けてみたくなったので、頼むことに決めた。

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