第4話

 彼が。


 帰ってこなくなってから。しばらく経った。


 消えちゃったのかな。


 心が波立つ。いつも静かな水面に、まるで水鳥が一斉に飛び立ったみたいに。


 ばかみたい。

 分かってたのに。

 こんな日なんて。

 名前もわからない彼との、日々。そして、今の、彼がいない日常。


 慣れなきゃ。そう思う度に。心が波立って。あふれだして泣いてしまう。

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