第2話

 ベッドの上に寝ている。彼氏。たぶん任務終わりで、憔悴している。泥のように眠る、みたいな。そんな寝方。


 蹴っ飛ばして、どかす。


「いてぇ」


 いたくないだろ。蹴ったわたしの脚がいたいんだから。


「生きてたんだ」


「任務に失敗しなければ、生きてますけど」


 わたしの恋人は、いちばんだめなタイプの奴だった。

 顔はいい。身体の肉付きも。料理がうまい。


 でも。


 しに急いでいる。


 とにかく、何よりも。わたしのことよりも。この街に散ることを、全てだと思ってる。だめな奴。


「おかえり」


 今更な挨拶。でも。


「ただいま」


 そう応えてしまう。彼の心も。落ち着いている。静か。

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