過去への依頼、未来への選択。この先の結末

雪のふむ

第1話

「なぁ」


そう俺は幼馴染に声をかけた。

その声はどこか遠く透けてとけていくようなそんな声だった。


声が出ない。

返事がない。


いや実際にはわかっている。

だけどいつかわかるだろうと、教えてくれるんじゃないかと思っていた。

幼馴染がいなくなっても。









「ねぇねぇ明日はバスでいくの?」

「いやいかないよ」


バス停で待っていると、声が聞こえてきた。

ちょうど5月に入り、新しい学校生活も慣れてきたのかバス停での話し声がいつもより聞こえた。

そして俺は高校2年生。


「バスってさ2分ぐらい遅れるけどなんでだろうね?」

「知らんけど、早くくるよりは良くない?」

「なんでさ?」

「早くきて乗れないよりは待ってた方が良いじゃん」


まぁぴったし来てくれるのが一番なんだけどな。

そう心の中でボソッと言う。


そして少し時間過ぎバスやってきた。

そして俺は一人で乗り込む。

いつもなら幼馴染と、なんだがどうやら体調が優れていないらしい。

俺が小さな頃から仲が良い幼馴染。

家族ぐるみでいいことから両方の家族で遊びにいくことも珍しくはない。だがここ最近は少なくなっている。


そしてバスを降り、学校へと向かった。


「やっほー、だい!」


教室のドアを開け、真っ先に声が聞こえてきた。

大体見当はついており、高橋大樹、俺の友達である。

ちなみに俺は大輔、略してだいと呼ばれている。


「朝から元気だなおまえ」

「いやおまえの顔見てたら、俺が元気じゃないといけないだろ」

「朝はみんなこんなもんだろ」

「いや俺はおまえの性格を理解してるぜ」

「意味深だな」


高橋はたまに文脈がない回答をしてくる。一見、意味深であるが何も考えてない脊髄反射だ。

会話もあっちこっちに進んでいく。

語感の良さと頭に浮かんできた言葉を結びつけてできる言葉遊びである。

だからこそ変に気を使わなくてもよくて、会話も完結しない。


「ってかおまえ知ってるか?」

「何が」

「タイムスリップって現実であるか」

「いや知らんけど」

「俺も知らん」


お決まりの脊髄反射だ。

話が転々とすると言うのは本当なのだが、実際は真面目に会話することもある。

いや相手からしたらこの会話もまともなのかもしれないが、、、


「お前さぁ。話に芯がない」

「ははっ。そうかもね。芯がないように見せてるだけかもよ」

「いやそんなふうに言ってももう遅い」

「そんなことはどうでもいいんだけどさ、幼馴染の調子はどうなのさ」

「どうなんだろうね。返信が来ないんだよ」

「そうか」


そう言うとチャイムが鳴り、高橋も席につく。


そして何事もなく学校が終わった。

普通の1日、3日たったら今日の昼飯も忘れているような日だ。

高橋に飯を誘われたが断った。なぜなら金がないから。

バイトでもやるべきなのだろうか。毎回そう頭に思いつきはするが言い訳をすぐ思いつく。

俺の方が芯がないのかもしれないと一瞬頭をよぎったが、

もうすぐ家につく。

家につけば基本的に考えてたこともゲームやスマホなどの娯楽で埋まる。

それは無意識的であるからなお恐ろしい。


そう考えていた時一瞬何かが光った。

雷か?そう思ったがそれにしては音がしない。


俺の家は少し歩けば海辺が見える。

どうやらそこから光が放ったように見えた。

なんの光かもわからない。それも海辺から。

誰かがいるのだろうかと思うかもしれないがそもそも開放していない。


興味本位。そう興味本位。

そう言い、走り出した。

別に走る必要はない。だけど何か引っ張られてるようなそんな気がした。

海辺に到着し、一歩を踏み入れた。


「やっぱり俺なら来るよな」


そう言うと、未来の俺。そう言いたくなるような風貌が俺に喋りかけてきた。









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