いよいよ運命の人
「みんな!できた?」
俺は最終チェックを済ませ、みんなに聞いてみる。ほかの人たちはようやくかというように立ち上がる。
「出来たよ」
「とっくに出来て、遊んでるよ」
「私たちを見くびらないでもらいたいね」
「じゃあ売りに行こう。今日は商人が来る日だっけ?」
俺はもう売ろうと商品を持つと筋肉さんは俺の肩を掴む。
「いや、明日のはずさ。こいつらは私がどこかに隠しておくから、何人かは残って監視な。これ以上金を取られちゃ困るからね」
「「「へい」」」
そういうと村の人たちは布を用意し、それを包む。何度か確認をし、筋肉さんの方へと渡す。筋肉さんは頷くとその布を受け取る。
「アルスたちは自由にしな。私らが対処するからね」
「よし!それじゃ!巨木のところに行って…」
俺は急いで外へと出ようとするとお母さんがそれを止める。もし階段に登ってたら、落ちてたかもしれない。良くは無いけど良かった。
「もうダメよ。今から野菜を取るの」
「そうか〜分かったよ。やる」
「では、皆さん失礼します」
「おう!あぁ入口のこと忘れてた。あんたら、これを守っておきな」
「「「へい!」」」
筋肉さんは布を渡すと俺より先に階段を上がる。ミシミシという音を立て椅子は持ち上がる。筋肉さんが手招きをし、俺たちは外へ出ると筋肉さんは手を挙げ、ゆっくりと椅子を下ろしていった。
「じゃあ野菜回収に…ってどうしたの?」
「いえ…あの人たち、ご飯を食べないのと思ってね」
「ついでに置いとくか。ご飯でも作って」
俺たちは自分の畑の方へと向かうと色とりどりの野菜たちが迎えてくれた。家の畑は小さめだが、それでもかなりの数が実っていた。
「おぉー!元気に育ったな!」
「なんか最近、畑が元気になったみたいで豊作なのよ」
俺はトマトに似ている野菜に一つ触れてみる。すると、巨木と会話しているような感覚がした。
(オレ、イマ、オイシクナイ!トナリノヤツ!トナリノヤツ!)
「ほう…隣のヤツが美味いんだな?どれどれ…」
俺は野菜に言われた通り、隣の野菜を触れてみる。
(アンチャン!イマヤ!カイシュウセイ!オレヲスープ二シテクレ!)
「なんで関西弁なんだ…スープだな?分かった。お母さん、野菜を切るあれとカゴを持ってきて!今日はいっぱい取れるかも!」
「わかったわ!任せて!今日は大量のスープにしましょう!」
「やったぁ!」
「もしかして回収した野菜全部をスープにするの?それはちょっと勘弁してもらいたいな」
俺はせっせと野菜のお世話をしつつ、お母さんが持ってきたカゴの中へ回収した野菜たちを入れていく。ノエルが途中、俺の採った野菜を奪い取ろうとしたり、食べようとしてきた。
それを阻止しつつ作業をしているといつの間にか夕方になっていた。お母さんは回収した野菜でスープを作り、村の人達に配っていた。
野菜のスープはとても美味でいつも以上にお腹が脹れた。俺は満足した状態で床につく。
そして、次の日、商人がやってきた。
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