釣りの日の災難
「さてさて、今日は何をしようかな」
数日後、俺はいつもと同じように巨木の根に寝そべって何をしようか考えている。最近、幼馴染は我が家に入り浸っており、帰るにも帰れないのだ。
1度家に帰った時、目がキラッと光ったかのように見えると瞳孔を開いて『どこ行ってたの?』って聞いてきた。その時、あまりの恐怖にチビったかと思ったぜ!帰れねぇんだ!
「家で寝ようにもヤツがいちゃ何も出来ないからなぁ〜」
すると、巨木はこういったように感じた。
『私の木を使って何かを作ってみなさい』
と、そういったように感じた。そう言われると少し悩んでしまう。
(この巨木の一部を使ってものを作るのは少し抵抗があるな…ほかの木なら余裕なんだが…)
まぁ寝ればいいかと思い、寝る体勢に入ると上から枝が降ってきた。って俺の脇腹に落とすんじゃないよ!びっくりしたじゃねぇか!
俺は仕方なく体を起こすと根元は固く、先端にいけばいくほど細くなっている枝が落ちている。これか。軽く振ってみると意外としなる。これならあれができるか!
「ありがとう!巨木さん!釣りでもするよ!」
(なんか釣れたら、供えてくれ!)と言っている。え?魚食うの?木なのに?要らないでしょ?
…あの…木の実落とすのやめてもらっていいですか?ちゃんと供えますから。
「んじゃあ誰かに…いや、ここは川に人がいないかに賭けよう。どうせ誰かいるだろう」
俺は枝を持って川の方へ歩くと誰かが居た。やった!神様、ありがとう!でも、見覚えあるな?
ん?あの後ろ姿って…。まさか…。
「あっアルス」
どうしてノエルがここに居るんだよぉ!家にいただろうがよぉ!なんで神は俺に試練を与えてくるんだ!
「お、おう。ノエルか。奇遇だな」
「なんか嫌そう。アルスの目玉、取るよ?」
「そうか。じゃあもう二度とノエルと話さないからな。それじゃあ」
「待って待って違う違う違う。許して許して」
俺は引き返そうとするとノエルは俺にしがみつく。離せぃ!俺の服に手を突っ込むやつが許してとかいうんじゃねぇ!マセガキがぁ!
「じゃあ…はぁ…私の質問に答えて…すぅ〜…その棒はなに?」
ノエルは俺の服に手を突っ込みつつ話を振ってくる。やめんか!これじゃただの変態じゃねぇか!
「これは釣り用だ!いいから早く離せ!そして、失せろ!…あっ」
俺の言葉にノエルは凶変する。瞳孔を開いた目でこちらを睨み、子供とは思えないパワーで逃がさないように抱きしめる。
「どうして…そういうこと言うのかな?この口が悪いのかな?この頭が悪いのかな?石で頭殴ればいいかな?そしたら、そんなこと言わなくなるかな?こんなに好きなのに、なんでそういうこと言うのかな?分かってるのかな?考えてるのかな?私の気持ち、理解しているのかな?アルス、声出せるのね。答えれるよね。早く答えて。答えなさい。どうして私にあんなことを言うのかいいなさい。早く」
俺は必死に頭を働かせる。俺がノエルに会いたくない理由はお母さんと何かをしているせいでパワーアップしているのだ。今のノエルは危険っ子のは違い、ヤンデレっ子になってしまったのだ。より磨きがかかったと言えるだろう。
「わ、分かった!言うよ!ノエルが綺麗だからだよ!(まぁ嘘だがな)」
「嘘ね」
「んはぁ!」
「嘘はダメって言われなかったのかな?アルスちゃん?」
耳元でお母さんが怒るように話しかけてくる。嘘ねって言われた時は焦って変な声出ちまった。
さて、ノエルの手は段々と俺の首に近づいてきているんだがどうしたものか。
「さ、最近我が家でなにかしているだろ?そ
それでこっそり魚釣って渡そうかなと思ったんだ!」
「………」
「ホントだって!川の方に行ったら誰かにいるかなと思ってたら、ノエルがいたんだよ!信じてくれよ!」
「…そういうことにしておく。はい、糸。釣りに行こ」
(なんで糸持ってんだよ!おかしいだろ!)
俺は腕を捕まれ、ノエルに連行される、もとい一緒に川へ行くこととなった。クソッタレ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます