巨木と動物との対話

「あれから5年か〜。早いもんだね」


俺は村の象徴である巨木に手を触れると巨木から何かを感じる。多分、挨拶でもしているんだろう。

こんにちは、巨木さん。元気に育てよ!


「アルス!やっぱりここに居たのね」


俺は巨木と挨拶していると母がやってきた。

母の名前はアリス。青髪の美人さんだ。

スタイルは細く、か弱い女性に見える。だが、実際は机をトントンと指で叩いただけで壊したほどのパワーの持ち主だ。決して机がボロかった訳でもない。怒らせると俺の額も同じようなことをされるのではないかと不安だ。


「お母さん。なんだか毎日触れてないとダメな気がしてね」


「そうなのね。この巨木、アルスが毎日触れてから色々とくれるのよ。あそこにほら!」


お母さんがある場所に指を指すと、見渡す限りキノコが生えていた。しかもむちゃくちゃ美味しい。


「お〜!美味しいキノコ!ありがとう!巨木!」


「村の人たちを呼んでくるから!そこでじっとしていてね!」


お母さんは走って集落の方へと走っていった。俺は巨木に感謝を伝えると、巨木に寄り添う形で座る。

木の葉が揺れる音はとても心地がいい。遠くの方で鳥がピヨピヨと鳴いているのもまたいい。

そうだ。母さんたちが来たら、ここで寝るのもいいな。


「早く来ないかな〜。なぁ巨木!」


巨木は『早く来て欲しいよね!あとお水ちょうだい!』と言ってるように感じる。よし、川も近い水を持ってきてやるからな!その代わり、後でちょっと寝かせろよ!

俺はしばらく巨木と対話していると村の人達総出でこちらに向かっていた。え?全部取る気?せめて1割ぐらいは巨木にあげなよ。


「アルス、お母さんはここにいるから何かあれば言いなさい!それじゃあみんな取るよ!」


「「「「「「「はい!」」」」」」」


俺の思いは届かず、キノコは取られていく。

すまん…巨木。水はたくさんやるからな。

俺はその場を離れ、森に入り、川の方へと歩く。最近は知り合いの動物に会えるのはありがたいな。

川に着くと草のリボンをつけたイノシシに出会った。


「おぉ!イノシシ!元気だったか!」


「ブヒッ!」


『お前もな!』と言わんばかりに元気良く鳴く。イノシシはゆっくり歩いて俺の匂いを嗅ぐ。よしよし!いい子だ!…うん、牙が痛いな。


「今日もキノコがいっぱい取れてな!巨木に感謝しないとな!」


「ブヒブヒ!」


『俺も一緒に行く』だって?なんていいやつだ!よし、キノコを見つけたら食べさせてやろう!


「それじゃ水を…『回収』っと」


俺は魔法を使い、水を掃除機のように吸い取る。

あっやべっ魚入っちゃった。

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