第7話 キャッチが「目につく」と「読まれる」は全然違う
ここらへんは仮説です。
が、個人的には正しいのでは、と今現在は考えています。
少なくとも、まったく参考にならないということはないかと。
・キャッチが「目につく」と「読まれる」のギャップについて
この2つ、まるで違うと思ってます。
まず、「目につく」と、「読まれる」の定義について、共有させてください。
たとえば、アナタがコンビニのカップ麺売り場に行ったとします。
同じ丸いパッケージが何段にも渡って並んでるわけですが、
物理的には、視野にあるすべてのパッケージが、文字も含めて「目に入って」いますよね。
これを「目につく」と定義します。
その上で、お、なんか見慣れない商品があるぞ、どれどれどんなラーメンだ、と商品名や宣伝文句を「読み」ます。
これを「読まれる」と定義します。
で、このカップ麺売り場が、カクヨムで言うトップページのピックアップに相当します。
まず商品棚に上がることで、「目につく」ことは達成されます。物理的に目に入っているので。
でも、みなさんはカップ麺売り場に行ったときに、すべての商品名や推し文言を「読む」でしょうか。
そして、覚えているでしょうか?
【文字というのは、目についても、基本的には読まれないもの】
なのではないかというのが、私の現時点での仮説です。
「目に入る」ということと、「読む」ということには無意識下での大きな差があるはずです。
それは恐らく、すべての情報を処理していると脳がパンクするからという、生物学的な理由によります。
情報の取捨選別が行われ、「読まれなかったもの」は「存在しなかったもの」とされます。
これは人間が人間である以上変わらない。
なら、売り手側が工夫するしかない。
このギャップを意識していないと、やりがちなミスをします。
それは、
【自作のキャッチコピーを何度も読んで確認してしまう】
というミスです。
アナタの作品を知らない一般通行人である読み専は、
順番として、
①「目につく」というハードルを乗り越えた後に、
②興味を引かれて「読み」
③キャッチの内容が良かったので、作品ページに進む
という流れになります。
ですから、
「このキャッチ、小説の内容をよく表せていて、良い文面なんだけどなぁ」
というのは、③でのクオリティを追いかけているだけで、片手落ちなのですね。
ここで、ようやく基礎編や応用編の本当の意味がわかってきます。
極力漢字を連発しない、とか
短くする、とか
パワーワードを入れる、とか
これらはすべて、②にアプローチしているわけです。
目に入りやすくし、興味を引き、「読まれる」文言にしようということです。
アナタのキャッチを「読んだ」人は、確かに文面の良し悪しを判断できます。
ですが、そもそも「キャッチを読ませる」ところまで行くのが、一番大変で、至難の業なのです。
言うなれば、一次選考に受かっていないうちから、最終選考で褒められそうな小説を書いているという感じです。
そういう小説は、下読みで足切りされますよね……私も経験ありますが……
なので、極端に言えば、
良いキャッチコピーとは、自分から読みにいくものではなく、
目についた瞬間に脳が勝手に読んでしまうもの、
と言えるでしょう。
そういう目で見ると、カップ麺は色々工夫をしているのがわかります。
真っ白なパッケージに文字だけ入れたものとか。
有名店の名前を乗っけるとか。
衝撃的な推し文言をどでかく印字する、とか。
その工夫をカクヨムでやるとどうなるかな、っていうのが、
今まで話させてもらった、基礎・応用編です。
もしここに、プロのコピーライターがいてくれれば、もっと色々な技を伝授してくれるのでしょうが、
ここはカクヨム、アマチュア作家の巣窟です。
だからこそ、偉そうとは思いつつ、恥を忍んでアマチュアなりの知見を共有させていただきました。
動機は、反骨精神です。
こんな小説とは別スキルで、編集部の目につく、つかないが決まると知ったなら、
悔しいので反抗するしかありません。
どんな場所であろうが、名作は勝手に浮かんでくるというのは、インターネットでは通用しません。
インターネットは、電子の海です。
電子の太平洋のど真ん中に落ちている名作は、果たして見つかるでしょうか?
100年かけたら、見つかるかもしれませんね。
でも、できれば存命中に見つけてもらいたいものです。
だからこそ、このエッセイを書きました。
名作が潰れていくシステムに、みんなで反抗していこうな――!
そういう想いです。
すいません、意外と長くなったので、
・読み専から★をもらいたい場合、キャッチの工夫だけでは不十分
については、次話に回します。
それできっと最後です。
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