第5話 カクヨムで浮上するコピーの作り方(実践編)


では、いよいよ、

「そういうお前はなんぼのもんじゃい」の例を上げます。


本当にガチで恥ずかしいですが、順を追ってキャッチコピーと効果の変遷をお伝えしますね。

後世の名作を埋もれさせないために、私が黒歴史の人柱となります……


例となる小説はこちら。

さきに備考欄で小説の中身を一読いただくと、下記の変遷がスムーズに理解できると思います。

https://kakuyomu.jp/works/16817330667699583631


今あるキャッチは、当然、効果のあった成功事例です。

ここに最初からいたわけではありません。



最初の最初は、こうでした。

(●:キャッチコピー ▲:タイトル)



●北欧系銀髪外人巨乳ギャルホームレスを拾った。臭いのでまずは風呂いれる。


▲ホームレスのGカップ北欧系銀髪美少女が俺に迫ってくるけど臭いし不潔だしで嬉しくない 〜グラドル並のボディなのは分かったからまず風呂に入ってくれ……いや一緒には入らねぇよ! あと谷間を隠せ!〜


【説明】

小説の序盤の内容をそのまま書いたキャッチです。

なんか、可哀想な子拾ってお世話する系があるし、これでいいのかなと思ってました。

あとは、ひげ剃ってJK拾うアレが頭にあったこともありますね。


これでも、当時の私としては、すごい読者に媚びたほう。

努力してて偉い。が、読まれません。


キャッチの後半を「まずは脱がして風呂いれます」にしてみたりもしました。エロ振りです。

が、読まれません。


基礎編を思い返していただければ、読みにくいことがわかるかと思います。

漢字連打です。



●俺に好意を寄せてくる北欧系銀髪外人美少女は激かわいいのにホームレス

●おにーさん、あーし(北欧系銀髪巨乳ギャルホームレス)と付き合って‼︎

●コイツ(北欧系銀髪巨乳ギャルホームレス)、くっっっっさすぎる……ッ‼


【説明】

キャッチをガンガン変えていきます。迷走ともいいます。

どうしても「北欧系〜」から始まる設定を消さないのは、ボソッとデレるアーニャさんが頭にあったからです。

外人ギャルって入ってれば、それが好きな人に刺さるんじゃないかと……


でも、残念。読まれません。

まずこのキャッチ、恐らく読み専の目についてないのです。

「目につく」→「文面を読まれる」の流れに乗らなければ、お客さんに刺さる刺さらない以前の問題なのだと思いました。

設定をベタ書きすると、一文一意が崩れて読みづらくなります。



●お風呂貸せ。さもないと(フケ・汚れ・脂汗)なすりつけるよ?

●北欧系彼女ができた。問題は彼女がくっせぇホームレスという点だけだ。

●まず風呂に入ってくれ!頼む……!


▲ホームレスの北欧系銀髪外人美少女が俺に好意を寄せてくるけど、超KUSEEEのでまず風呂に入ってほしい


【説明】

ホームレス方向に振りました。頭を捻ってますね。

悪くはないと思いますが、ジャンルがラブコメなことを忘れているようです。

「この作品を読めば、ラブコメの快感が得られるはず」と読み専に期待してもらえなければ、キャッチとしては難しい……



●外人で銀髪でギャルで巨乳で美女でホームレス⁉ 設定盛りすぎだろ‼

●風呂入る前「臭ッ!」→風呂上がり「ただの北欧系美少女だ…」

●抱きつくな! お前(北欧系美女ホームレス)の匂いがうつるだろ!


▲ホームレスの北欧系銀髪外人美少女が「付き合って❤️」と俺に迫ってくるけど、とにかく臭くてそれどころじゃない 〜かわいいのはわかったからとにかく風呂に入ってくれ!〜


【説明】

タイトルはなんとなく固まってきました。

人様のキャッチを見て、真似て、学ぶ日々が始まっています。それに伴い、文面のバリエーションが増えます。

そして、三番目の「抱きつくな〜」で、わずかにフォローの増え方が変わりました。

重大なヒントを得ます。


「エロや……ワイにはエロが足りないんや……!」



●おっぱい押しつけてくんな💢 ホームレスの匂いがうつるだろ👊💢

●公園で助けた北欧系美少女ホームレスが、俺をえっちにいじってくる。

●激かわいいホームレスのギャルを助けたら、俺に懐いてベタベタしてくる。


▲北欧系外人ギャルの田村さんはなぜかホームレスで激臭不潔 〜芸能人並にカワイイのは分かったから、まず風呂に入ってくれ……いや一緒には入らねぇよ! 巨乳で誘惑してもダメだ! ちゅーも臭いからダメ!〜


【説明】

エロの悪魔に魂を売ったのがよくわかりますね。

恥もへったくれもない、エロ推しです。

この段階で、読み専フォローは少しだけ増えてきましたが、これではカクヨムコンは全然戦えないという程度。



●ちゅーしよ❤️ お風呂一緒に入ろ❤️ 一緒に寝よ❤️

●ちゅーしよ❤️ お風呂入ろ❤️ 一緒にダンボールで寝よ❤️(←最終稿)


▲激かわホームレスの田村さんを助けたら、なぜか俺に懐いてベタベタしてくる件 〜臭いのでまずはお風呂に入れます。ちょ、裸で出てこないで!〜


【説明】

唐突でした。

どういう経緯でこのキャッチ思いついたのか覚えていません。

が、メモ帳に、

『キャッチコピーも燐のセリフにするやつ。お風呂一緒に入りたいの?みたいなとこを3つくらいで甘々っぽく感じさせる』

と書いてあるので、狙い通りのようです。


上記キャッチコピーですが、

「ちゅーしよ❤️」も、「お風呂入ろ❤️」も、「一緒にダンボールで寝よ❤️」も、

この3つを一気に言うところは、本文中にはありません。

(※近しいセリフはそれぞれ言います)


でも、ヒロインをまるっと要約するとこうなるよね、という仮想的なシチュエーションを示したキャッチと言えます。


これにした途端、通知欄に読み専フォローが飛びまくるようになりました。

あ、これでいいんだと納得するくらい、まるっきり反応が違いました。

※ちなみに、小説の中身は最初から一切変えてません。


それと、タイトルからようやく、北欧系銀髪うんぬんが消えました。

複雑な要素いっぱいの設定より、シンプルに「かわいいホームレス」と言ってしまったほうが伝わったわけです。

これに最後まで気づけなかったのは、

「キャッチですべてを説明しなきゃ……!」

という思い込みのせいでした。

あの思考は、ほぼ呪縛です……


中見ればわかる詳細設定は、書かなくてよい。

それより、とにかく要素を減らして、研ぎ澄ませることのほうが、

他人にものを伝えるには大事なようです。



以上が、フォローが増えるまでの変遷でした。

基礎編と応用編を読んだ方なら「あぁ、全部踏まえるとこうなるのね」と思っていただけたかと思います。


・文面が平易でわかりやすい。

・パワーワード(エロ)で目に入りやすい。

・最後に興味を引くオチがある。


これが、読まれないと思っていた小説が、キャッチコピーひとつで生まれ変わったという、実例です。


勿論、キャッチを安易にすることが、すべての小説における正解ではないですが、

もし、アナタが埋もれていることに悩んでいるのであれば、

取り入れられるところから取り入れてみる、というのも良いのではないかなと。


アタタの小説が評価されないってことが、実は中身のせいではないという可能性、多分にあるので。



さて、

ここまで説明しておいて、

最後に愚痴を言わせてください。


ウェブ小説サイト全般さん……

評価基準をもう少し増やしてもよいのでは……


第一話では冗談のように言いましたが、

私は、ガチで1作につき100案くらいキャッチを作りました。

私の場合は、キャッチコピーにそもそも興味があったのでできましたが、

普通の人は、時間も忍耐も含めて、多分できないです。


これでは、優秀な作家というより、優秀なコピーライターを集めてるサイトというほうが近くなってしまいます。



しかも、スコッパー賞が新設され、無名をピックアップしようという意気が見えるカクヨムコンでも

とある時期を逃すと、ほぼ確実に無名は埋もれるという残酷な仕様があります。

ここを注意しないと、私みたいな弱小は読者選考には通りません。

埋もれた時点で、いくらキャッチコピーいじったって無駄です。(※先月の私のことです)


次話は、カクヨムコンで間違いなく知っておくべき注意点について、書いておきます。

次のコンテストに挑もうと考えている人は、絶対に頭に入れておいてください。

ガチです。


私の唯一最大の後悔は、ここにあります。

同じ轍を踏んでほしくはありません。







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