第57話
「いらっしゃい。みんな、どうぞ上がって」
「おじゃまします」
と
「今日は、こんなにたくさんの来客で、何だか楽しいなあ」
葵は嬉しそうに言った。広い客間にはいつもより大きなテーブルが置かれ、ソファーの数も増えていた。
「さあ、どうぞ、座って」
と葵の勧めに、みんなが座った。葵のソファーにはもちろん、
「さて、今日は、調べたことをみんなに伝えるために集まってもらった。先日、僕と隼人は間宮家の源流である佐々木家を探って、彼らの悪事を突き止めた。けれど、まだ懸念が残っている。そこで、佐々木家の分流の
と葵が言った。
「京極家か、じいちゃんに聞いてみるよ。相手がどんな奴か分からないからな。まだ、接触はするなよ。ただ、俺たちが探っている事は気付かれているだろう。佐々木の件もあるしな。見えない敵が俺たちを見張っているかもしれない。お前ら、十分注意しろよ」
と
「あっ、そうだ。俺の犬を、みんなに付けておくぜ」
指笛を吹いて、銀色の犬たちを呼び出した。
「お前ら、俺の友達の連絡役だからな」
義則が言うと、犬たちは身体を小さくして、主の命に従った。
「銀ちゃん、あたしにもついてくれるの?」
美姫は銀色の子犬を嬉しそうに掌に載せて頭を撫でた。
「へ~、お前、こんなに可愛い姿になれるんだな」
朔太郎は、以前、銀色の犬たちに懲らしめられた事があって、少し苦手だったが、この可愛らしい姿なら、あの屈辱を思い出さずに済みそうだ。
雫は無表情で一瞥したが、銀色の子犬のつぶらな瞳が彼女を真っ直ぐ見つめると、堪らずに抱き上げ愛撫するのだった。
「隼人、今回も呪術を使う奴らと戦う事になるから、お前のお父さんと、叔父さんにも話しておいてくれよ。二人に会ったら、こいつらを連絡用に付けてくれ」
義則は銀色の子犬を二体、隼人に手渡した。手のひらサイズの銀色の子犬は黒く澄んだ瞳を隼人に向けている。
「分かった」
と言って、子犬を二体受け取った。もちろん、隼人にも子犬は一体付いている。義則が従える銀色の犬は全部で九十九体いる。ここで数体使っても、まだ十分に余裕はある。普段、銀色の犬は、義則の家の封印の間の鏡の中に居て、義則が自由にいつでも、何体でも呼び出すことが出来る。義則は、この九十九体の犬たちの主であり、犬たちは、義則に契約で縛られているわけではなく、信頼で服従しているのだった。
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