第41話
数分後に
「
美姫が言うと、
「雪兎君に一体何が?」
と絢は不安そうに言った。絢の肩には、先日、契約魔獣となった火の鳥がまん丸な体系の小鳥となって留まっていた。
「俺にも分からねえ。だから、会いに行くんだ。俺はあいつを信じている。行くぞ」
と義則は言ったが、
「ところで、あいつんちはどっちだ? 絢、知っているか?」
と聞く。
「私も知らないの。まだ、家に呼んでもらったことがないから」
と絢は俯いた。家に絢を呼ばないというのはおかしな話だ。きっと、何かあると義則は思った。
『ふんっ、俺に乗れ』
『白龍の匂いは飽きるくらい嗅いだ。居場所はすぐに分かる。お前らもついて来い』
そう言って
しばらく行くと、
『あそこだ』
と
「なんか、変だな」
その家は、妖しい空気に包まれていた。
「入るぞ」
門を押して中へ入ると、夜も更けていて広い敷地に木々もあり、闇のような暗さと、どんよりと澱んだ空気が辺りを占めていた。青龍の屋敷とは真逆で、魔獣にとっても居心地の悪さを感じたようで、
『嫌な気だな』
と
「やっぱり、来たんだね。美姫ちゃん絢ちゃんも一緒か」
その建物から雪兎が出て来て言った。
「なんか、ごめんね。心配かけたみたいで」
いつもの穏やかな口調だが、何か変だと義則は思った。
『服従の契約だ』
黒が呟く。
「どういう事だ?」
義則が聞くと、
「
雪兎は悲しそうに言った。
「雪兎君、私はあなたに守られてばかりは嫌よ。だから、今は私が雪兎君を守るわ」
絢が言うと、
「駄目だ! 今すぐ逃げて! 奴らが来る!」
雪兎は声を荒らげた。
「雪兎、お前の服従の契約、俺じゃなくて、絢が上書きするぜ。こいつの霊力は俺より上だ。絢、やり方は簡単だ。これをお前が雪兎に手渡して、雪兎に血判を押させる。それだけだ。雪兎、指を傷つけるのは、この針を使え」
義則が言うと絢は、
「わかった」
と言って、契約の上書きを実行した。
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