第27話
「そうだぞ、遠慮しないでくれよ」
「いただきまーす」
と元気に言って、みんなで楽しく食事を始めた。これだけ多くの魔獣操士が集まり、父と祖父は少々、興奮気味に、彼らの魔獣について質問した。
「君たちの魔獣は、みんな黒いんだね。
父はそう言って、
『……』
「ごめんね。
父は何も答えない
「
義則はそう言って
『ふんっ』
「嬉しいくせに」
黒い魔獣使いたちの名はそれぞれ、黒熊使い、
食事を終えて、
「お前らにもう一度聞くけど、何で魔獣狩りをしていたんだ?」
義則が聞くと、
「俺たちは魔獣操士のヒエラルキーを崩す事を目的としている」
と黒熊使いの峰人が答えた。
「なんだ? そのラルキ―とかいうのは?」
「ヒエラルキーだ。階級制度とか身分制度の事だ。龍使いがまるで王族のように君臨しているのが、俺たちは気に入らない。それを崩すことが目的だ。こんな理不尽な階級制度が、古代から続いていたんだ。そんなの、許されないだろう。まあ、お前もあちら側なのだろうが」
峰人が、最後は落胆したように言った。
「あちら側って何だよ? 俺の魔獣は犬だぜ?」
義則が言うと、
「お前は白龍と一緒にいた。それに、黄龍に頼まれて魔獣狩りを狩っているんだろう?」
峰人が言った。
「違うぜ。俺と
義則の言葉に峰人は、
「そうだったのか。それが本当ならいい」
と言った。
「お前、俺の事、信じていないのか? 友達なのに淋しいじゃないか」
義則はそう言って、峰人の肩に手を回して、
「仲よくしようぜ、みねちゃん」
と彼の頬を指でつついた。
「つつくのはやめろ。そして、みねちゃんと呼ぶな」
峰人は不満そうな顔をして言ったが、
「なんだよう、みねちゃん。照れてんのか?」
と義則は嬉しそうに言った。
「だからっ。もういい、何とでも呼べ」
峰人は相手をするのも面倒になって、そう言った。それからは『みねちゃん』と呼ばれるようになった。
「それで、みねちゃん。黒猫使いの事は知っているのか?」
義則が聞くと、
「知っている。だが、関りはない」
と峰人が答えた。
「何処に住んでいて、何ていう名前だ?」
「東の町に住んでいて、名前は
「そうか、それじゃあ、会いに行こう」
義則が言うと、
「それは俺に同行を求めているという事か?」
峰人が聞いた。
「もちろんそうだろう。みねちゃんが案内してくれなきゃ行けねえじゃん」
それを聞いて峰人は、
「そいつに会ってどうするんだ? 戦って倒すのか?」
と聞くと、
「違うぜ。話しを聞くんだ。何で
と義則が答えた。
「それは敵を知るためなのか? それなら黒猫使いに接触するのは必要なことだな。あいつが一人でやっている事じゃない。背後にいる者をあぶり出してやろう」
峰人は、面倒な事に巻き込まれたが、義則に協力することで、魔獣操士のヒエラルキーを崩せるかもしれないという、希望を見出したのだった。
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