詩  「問い」

@aono-haiji

第1話  詩  「問い」


——どこへ行く——と 問われた

その瞬間 空と大地が 言い争いを始めた

きっと人の耳に届かない 大きな声で


斜めになってるぞ

傾いているのは おまえだ

宇宙に 水平の基準はない

たった一度の始まりがあっただけだ


時間を押しているのは おまえだ

時間を喰っているのは おまえだ

終わらない空と大地の ののしりあい


わたしは叫んだ

問われているのは わたしだ!

おまえたちは 消えてなくなれ


消えていいのか?

おまえだって 消えるぞ


消えていい

どこへ行く と問われたことは

今の わたしが 消えるということだ


そこで 空と大地が消えた

わたしと 問いだけが残された

——どこへ行く——


終わりが美しいと思うのは幻想だ

ほんとうは

消えるということは許されていない

なぜなら

誰も始まりさえ見ていないのだから


もしかしたら ここにいるはずのない 

わたしたち

それが ここにいるのは

ここに 問いがあるから


わたしたちは 常に 永遠に

問われている

その意味を見失ってはならない


わたしたちは 

——どこへ行くのか—— と

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