第10話

決闘館練のことが終わって家でゆっクリしていると、だれかが馬車に乗ってうちに来た気配がした。

「リョータくーん!」

この声は、もしかして、いや、もしかしなくても彼女だ。

「久しぶり、アリナ。元気してた?」

彼女の名前はアリナ・フォン・クラスト。

クラスト伯爵家の令嬢だ。

クラスト家は現当主が宰相をしていて、国と契約している爺ちゃんとは仲がいいので、アリナとは幼なじみだ。


爺ちゃんからは、程程に仲良くするように言われているが、彼女の方が俺に好意を抱いてるらしく、喜ぶべきか、悲しむべきか悩むところだ。


幸いかなこの国では平民と貴族の結婚が認められており、婚約の打診がおこなわれている。

しかし、こんななりでも精神年齢は35歳だ。ロリコンの趣味などないのに7歳の幼女と婚約しても、何も嬉しくない。せめて前世の享年くらいになってもらわなくては。


「疲れてるみたいだけどどうしたの?」

彼女は観察眼が鋭く、相手の考えていることがうっすらと分かるらしい。

「最近、決闘をしたから家でゆっくり休んでいたんだよ。」


全く、中身の濃い1週間だったよ。そういえばアリナも昨日が7歳の誕生日だったはずだ。どんなスキルをもらったんだろう。


「私も昨日スキルをもらったの。どんなスキルだと思う?」

やっぱり人の心を読めるんじゃないか?もう、どんなスキルでも驚かない自信がある。

「あったりー!私のスキルは『読心』だよ。さっきからリョータの考えていることはわかっていたよ。」

待ってくれ。この流れだと、転生やスキルについて聞かれるんじゃないか…

「リョータ君、ちょっと向こうで話したいの。いいよね?そして、SPは向こう行ってて。 」

強引に話が進んでいく。だれか、助けてくれ。

「まず、スキルはなんだったのリョータ。」

ハイライトさんが行方不明だ。怖いよ。

「憑依でございましたすいません。」

「どうしてあなたが謝るのよ。私が怖いってわけ?」

無意識なのだろうか、プレッシャーがめっさかかってくる。

「憑依ってのはどんなスキルなの?」

「ざっくり言って相手のステータスを奪うスキルです。」

「ふーん。もっと何かありそうだけど聞かないであげるわ。」

これだけならSPをのける必要はない。次が本題だろう。

「お遊びはここまで、本題にはいるわよ、転生ってなに?」

やはりこれのことか。秘密を共有する人は1人か2人いた方がいいからな。

「実は、スキルをもらった時に前世の記憶を思い出したんだ。」

「前世?つまり、あなたはもう1人分記憶があるっていうこと?」

まあ、そんなとこか。

「そろそろ戻った方がいいんじゃない?このためだけにうちに来たわけじゃないでしょ?」

・・・

「そうだった!大変。急いで準備しないと。」

アリナは急に慌て出した。全く、僕に関することとなったらなんでもほっぽり出しちゃうんだから。







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