第2話
翌日
じいちゃんに呼び出されたので、俺は書庫に行くと、本のようなものを持ったじいちゃんがいた。
「なにかいい案があるの?じいちゃん。」
そう聞くと、じいちゃんは喋りだした。
「良太のスキルの憑依の欠点は、他の体に宿るということじゃ。他の体に宿れば、寿命は逆に無限も同じじゃからな。だからこそ、わしはこれが必要だと判断した。」
そう言ってじいちゃんが見せてきたのは、じいちゃんが持っていた本だった。
「これは変装のスキルのスキルブックじゃ。これを使えば、憑依をしても良太の姿になって生活することができる。」
その言葉に俺は絶句した。スキルブックとは、ダンジョンに潜っていると、たまにドロップするだけのもので、どんな内容でも、1冊で大豪邸が買えるような価値があるのだ。
「でも、それものすごく高いんじゃ…?」
そう尋ねると、じいちゃんはこう言った。
「これは、わしがダンジョンに潜っていたときにたまたまドロップしてのう。複製しておいたものなんじゃ。」
そうだった。じいちゃんは複製のスキルを持っていて、それを使って1代で巨大な商会を作ったのだ。
「じゃあこれは、気軽に使っていいってこと?」スキルブックは、2分の一の確率でスキルを覚えられずに消費してしまうので、気軽に使うことができないのだ。
「もちろん。無限に作れるから、1024分の一を引いても大丈夫じゃ。」
「10回連続で失敗するほうが難しいよ⁉」
そういうことで、早速やってみることにした。スキルブックの使い方は簡単。手に持ってそのスキルを念じるだけだ。1回目失敗 2回目成功 変装のスキルをゲットすることができたので、早速じいちゃんに変装してみる。
「『変装』」そう唱えるとなにか体に違和感を感じた。
「急にわしにならないでくれ、心臓に悪い。」良かった。成功したみたいだ。試しに、そのままリビングに向かうと、僕の家族が異口同音に、
「「「「リョータは大丈夫なんですか!」」」」と聞いてきた。父さん母さん、そして兄さん姉さんが、こんなに心配してくれていたことに、とても嬉しかった。
「ほっほわしはここじゃよ。」その声に、家族は、僕と今やってきたじいちゃんを見比べ始めた。
「どっちが本物だ?」「こっちかな?」「いや、やっぱりそっちか?」
などと悩んでいる。父さんは、
「この中で一番父上を見てきたのは俺だ。家族の力で…力で…わからん!」父さんも見破れなかったので、俺はスキルを解いた。すると、みんな一拍遅れてから、
「「「「ええ⁉」」」」
と驚いた。
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