第8話 山の上

雲一つない空

その山の頂上で君は言った。

綺麗だね、と

私もそれに頷いた

綺麗なのは空じゃなくて彼だけど


翌年も登ろう

そう約束した彼はもうここにはいない

今は私のものではない

物扱いするのは変だけど


一人空を眺める

今日は一面の曇りだ

今日は彼がいないからかな?

そう思い、笑った


彼は別の人と山を登ってるのだろう。

そう思うと悲しくなる

でも私は幸せだ

山に登れるのだから


翌年私は二人で山にいる

今の彼は山登りが好きではないけれど

私が景色を見ていると彼はいった

景色が綺麗だね、と


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

有原優の詩集 有原優 @yurihara12

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る