第3話 君は先に行く

 君はいつも俺を置いていくね。


 朝学校に行く時も先を進んでる。


 昼ごはんを食べる時も先に食べ終わってる。


 大学が決まるのも先に前期試験で決まってる。


 俺は後期で滑り込んだのに。


 結婚してからもそうだった。


 朝起きるのも、夜寝るのも、家を出かけるのも、いつも君が先だった。


 俺が君の先にしたことなんて、君がしていないことばっかりだ。


 だけど、君はいつも笑ってたね。


 君がいてくれるおかげで私は先に進めるんだって。


 でもこれはないだろう。


 まだ早すぎるだろ。


 せめて俺を待ってくれ。


 先に逝かないでくれ。

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