第2話
「あのエレベーター面倒なんだよ!クソ!なーにがスターライトカフェのフラペチーノだ!」
加藤は文句をブツブツ言いながらエレベーターのパスを入力し地上に出た
警視庁の交差点を右折し瑞ヶ関駅方面に向かうと信号に引っかかった
ースターライトカフェ遠いな!なんなんだよ!あの人!でも…戸川さん…何を知ってるんだ?ー
そんな事を信号待ちしている時に考えていると信号が青になり人混みが動いた
ワンテンポ遅れて加藤も信号を渡ると人混みになれてないのか高齢女性が信号の真ん中で人に揉まれ転んでしまった
加藤はすぐさま駆け寄り
「大丈夫ですか?立てます?」
「ありがとうございます、すみません…」
加藤が肩を貸し女性を立たせた
「謝らないでくださいよ、ったくぶつかっといて謝りもしねぇとか…荷物拾いますよ」
加藤が荷物を拾うと
「お手伝いしますのでひとまず信号渡っちゃいましょう」
そういい女性を抱き抱えて信号を渡ったが点滅して渡りきる直前に赤に変わった
車のドライバーからクラクションが鳴らされ
「早く行けよ!」
と急かされたが加藤は
「うるせぇ!人が困ってんだ!ちょっと待っとけ!」
加藤の反論に腹を立てたのかドライバーが路肩にクルマを止めて降りてきた
クルマは外車でドライバーは派手目の若い男いかにもな風体だった
「てめぇ誰に言ってんだぁ?」
高齢女性はオドオドしながら
「すみません、すみません…私のせいで」
「貴方が謝る事ありませんよ、横断歩道上で渡りきる直前に歩行者クラクション、赤信号とはいえ歩道に片足入ってるこれは立派な道路交通法違反だ」
加藤は抱きかかていた女性を降ろしながら答えた
「はぁ?舐めてんのか?」
「舐めてねぇよ」
そういいながら加藤は警察手帳を見せた
「これ以上揉めたいなら警視庁でゆっくり時間使うかどうする?俺は時間はあるから問題ないぜ」
「…んだよ…税金ドロボーが!クソ!」
ドライバーは捨て台詞を吐き車に戻っていった
「俺だって税金払っとるわ!さ、もう大丈夫っすよ、この辺平日は人が多いから気をつけてくださいね!それじゃ!」
加藤は早歩きでスターライトカフェに向かいその背中に高齢女性は丁寧にお辞儀をして見送った
スターライトカフェは丁度昼時で混雑していて店内は長蛇の列
ーこれ待つのかよ…ー
諦めて列に並ぶスマホを弄りソシャゲのログイン作業やSNS等を見ていたらあっという間に加藤の番がきた
「お待たせしました。いらっしゃいませ、ご注文をどうぞ」
「あ、スターライトラテのエスプレッソ追加のトールサイズとストロベリークリームフラペチーノ…ホイップと…なんだっけか…あ!チョコと…」
加藤が注文をまごついてると後ろから
「ストロベリークリームフラペチーノホイップとチョコチップマシマシ、ハニーシロップも追加…じゃないかい?」
加藤が驚き後ろを振り向くとノーネクタイジャケットパンツコーデの長身の男が答えていた
「すみません!ん?なんで分かったんです?」
「アハハ、偶然だよ、今流行ってるんじゃないかな?僕の知り合いも同じトッピングが好きでね」
「あの…」
店のロゴの入った緑のエプロンをした店員が困っていると長身の男が
「会計一緒で、僕はスターライトソイラテのトールショット追加無しであと…バニラフラペチーノにココアクッキー追加で、君も持ち帰りかい?」
「えぇ…まぁ…てか悪いっすよ!何やってるんすか?!」
「いいからいいから、さっきいいものを見せてもらえたからそのお礼さ、あ!両方ともテイクアウトで有料の袋付きでお願いするよ」
そういい長身の男は万札で支払いを済ませた
「では左手奥のカウンターからお渡ししますのでカウンターライトの前でお待ちください」
店員に促され長身の男と加藤はカウンターに移動した
「あの…名前も知らない貴方に奢られる理由は…」
「さっき君は高齢の方を助けてたろ?しかも因縁つけてきた奴に1歩も引かなかった、警察手帳も出してまでね、ああいう時ってだいたいの警察官は無視するんだ、君は立派な警察官だよ、まだ警察…というより人も捨てたもんじゃないなと思わせてくれたお礼さ」
「はぁ…でも警察官として自分は当然の事をしたまで…」
「その当然ができない人間…特に警察は事なかれ主義でとことん隠し事をして身内に甘い連中の掃き溜め…あ、失礼、申し訳ない。現職の方の前で」
長身の男が場が悪そうにしていると
「いや、そう思わせてしまい申し訳ないっす、耳が痛いですがたしかにそういう警察官も多いです、でもそういう人だけじゃない事はご理解ください。」
加藤は頭を下げながら言うと男は軽く笑った
「ハハッ!君は本当に立派な警察官…いや、真面目でいい人間なんだろうな、君みたいな警察官が増えたらもっと…」
そんな会話をしていたら加藤達が注文したものが出来上がりカウンターに載せられた
「お待たせしました、こちらの袋に入ってるのがストロベリーフラペチーノクリームとチョコチップマシマシハニーシロップ追加とショット追加トールサイズラテでございます、シールの貼ってあるこちらの袋がソイラテとバニラフラペチーノでございます、ありがとうござ…」
店員が言い終わる前に長身の男が
「すまない、両方ともストローはプラスチックのに交換してくれないかな」
「承知しました」
「ありがとう、僕の連れはあの紙のストローが苦手でね。もしかしたら君の連れもかな?と思って」
「どうなんでしょうかね?お気遣いありがとうございます、すみません俺ちょっと急ぎなんで、ありがとうございました」
「あ、僕も連れを待たせてるんだった」
2人して店を出た後
「なんか何から何まですみませんでした、名前も知らないのに…」
「お礼なんて要らないよ、急いでるなら早く行った方がいい。じゃあ僕もこの辺で」
長身の男は加藤と反対側を向き歩き出した瞬間
「また会えるさ…………未詳課の加藤君」
加藤は名前を呼ばれたので驚いて
「え?!…」
振り向くと男はどこかに行ってしまっていた、しかしそれらしき男は見当たらず首を傾げた
「ん?どこに…まぁいいか、やべ!あんま待たせるとめんどくせぇな」
そう小声で言うと足早に警視庁に戻って行った
〜瑞ヶ関中央公園東口噴水前〜
「ヒカル、待たせたね。ごめんごめん」
「待ってなんてないです、お気になさらないでください」
先程の長身の男が長い銀髪の髪を1つにまとめ黒タイツに短めのスカート、シャツにネクタイでジャケットを羽織った女にバニラフラペチーノを渡した
「わぁ!ありがとうございます、わざわざ」
「気にしないでくれよ、礼を言うのはこちらだから…しかし…あの目立ちたがり屋にも困ったな、何を勘違いしてるのか…前はあんなじゃなかったんだが…やるだけやって頼んだ物は回収しない。いや、しないんじゃない、やらなかっただけだ。おかげで僕とヒカルでやる事になったからね」
長身の男はため息混じりにソイラテを飲んだ
「処理しますか?やりますよ、ご命令があらば」
バニラフラペチーノを飲んでいた「ヒカル」と呼ばれた女がそれに答えた
「うーん…貴重な「才能」を持つ仲間なんだけど…これが続く…ん?ヒカル、靴に」
靴を指摘されヒカルが靴を見ると赤い汚れが着いていた
「すみません!すみません!ちゃんと確認しないでごめんなさい!!すぐに…」
ヒカルが飲み物を乱雑に置き両手の人差し指と親指を画角にして靴に合わせたがそれを長身の男が止めた
「やめなよヒカル時間が過ぎてる、それに頼んだのは俺の方だしね。汚いサルの血がついた物なんてヒカルに似合わないからこれを飲み終わったら新しい靴を買いに行こう」
「…怒ってないですか?」
「怒るもんか、好きな物選ぶといいよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「遅いよ!ビリリチビり!」
「はいはい、すみませんでした!てかそれやめてください!」
「ちゃんと謝ってよ!」
戸川が加藤に言う前に加藤は袋からストロベリーフラペチーノとストローを渡した
「わぉ!ハニーシロップ言ったっけ?まぁいいや、プラストロー!ビビり君は気が利くねぇ」
「戸川さんも?」
「ビビりも?なんか紙のストローって嫌いなの、トイレットペーパーの芯咥えてるみたいでさ」
戸川はストローを挿してフラペチーノを飲んだ
「うーーん!高まるぅ!」
「別に俺紙ストローとか気にならねぇっすよ、しかし…よくまぁ聞いてるだけで胸焼けしそうなもんよく飲めますね」
加藤の一言に一瞬反応した戸川
「…うるさいな…気が利くと思ったけど撤回」
「え?」
「なんでもない」
「そう言えば1階の正面口で捜一の連中が結構な勢いで出ていきましたよ?何かあったんですかね?」
「ふーん…」
ストローをガシガシ噛みながら戸川はまた凄い勢いでキーボードを叩いた
「何してるんです?」
「ハッキング」
「ブッ!サラッと何してんすか?!」
「情報の共有だよ、こっちに下ろさないから無理やり見る…ひた隠し…これか」
戸川がPCの画面を加藤に見せた
「なんです?…え?!帝昭ホテルで山川議員を含む秘書2人が惨殺?!」
「…監視システムに入る…よし、入ったモニターデータは…あった!消される前にちょっと拝借…」
ホテルの監視モニター画面を2人で見ているとスーツを着た小柄で黒縁メガネの男が入って行き数分後に出ていった
「あ!コイツ!」
「うるさないな!大きな声…」
「こいつですよ!戸川さん!俺が会ったのは!」
「こいつか…」
「戸川警部はこいつが誰か知ってるんですか?!」
「うるさい、さてウチらも行くよ」
戸川は机から立ち自分の後ろに置いてあるピンクのキャリーケースを引っ張り部屋を出て行き
「ちょっと待ってくださいよ戸川警部!」
キャリーケースを引っ張る戸川を追うように加藤も部屋を後にした
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