古の記憶

『今日うちで泊まらない?』と綾からの手紙か...

なんだよ...

さっさと家帰って親の許可取って準備して...頭が痛くなるわ!




ー帰宅ー

「ただいま~」

「あら健次郎。遅かったわね。」

「ああ。片付けが長引いてな。」

俺は事情を話す。あのことを除いてな。

「だから友達の家に泊まってきていいか?」

「分かったわ。楽しんでくるのよ。」

珍しく賛同してくれる母。

「ありがとう」その言葉でいっぱいだ。





ー綾宅ー

インターホンを押す

『ピンポーン』と音が鳴る

「はーい!あ!健次郎君来てくれたんだー!」

元気な声が家に響く。

「さぁさぁ!上がって上がって!」

「綾。気になってたんだが...親は?」

「パパとママは今日仕事で家にいないの!」

「とりあえず俺が今日泊まる部屋に案内してくれ。」

「分かった!」





ー二階に行くー

「ここ!」

「ここお前の部屋じゃん。」

「え?ここで寝るんだよ?」

「...は?」



「入りますよ~!」

「いいよ!」

残りの三人が来る。

「北西さん、早いんですね。」

「もしかしてうちのこと待ってたんでしょ~。」

「なんだよ。気持ち悪い。」

「葵。出番久しぶりだな。」

「メタいことを言うな。」

「はい。」




俺らは夕食前までトランプやリバースをして楽しんだ。

「みんな!そろそろ出前頼まない?」

「そうですね。この前綾の家の調理器具で調理したら器具がなれなくてゲテモノが誕生したのでよっぽどマシですね!」

「そんなことあったんだ。」





ー食事ー

「百海。そんな食ったら太るぞ。」

「失礼な!少しはデリカシー持ちなさいよ。」

「え?加奈もう食べ終わったのか?」

「えぇ。逆に皆さんが遅いだけだと思いますよ。」

「黙れ。」

「ひどいですよ北西さーん!」



ー風呂ー

「とりあえずあーだこーだ言われるのめんどくさいから先風呂入ってくる。」



風呂のドアを開ける。



「綾んちの風呂は...」

俺は開けた戸を一瞬で閉じた。

「健次郎君なんで閉じるのー!?」

「入浴中悪かったな。すまん。わざとじゃない。」

「別にいいよ。」

「え?あ?ほんとにいいんだな?ただしそっち向かねぇぞ?」



ー※ご想像にお任せしますー

「き、健次郎君...多分健次郎君も覚えてると思う。この光景。」

「え?なんのことだ?」

「忘れちゃったの?」

「私たち小学校低学年ぐらいのころ、よくこうやって兄妹のようにお風呂に入ってたじゃない。」

「はっ!お前...もしかして...」


ー幼少期の綾と健次郎ー

「ねぇねぇ健次郎君。今日も泊まりに行っていい?」

「いいよ!」

私たちは母親同士が高校の同級生でそのつながりで俺らはよく顔を合わせてた。

最初は顔見知りだったものの、だんだんと遊ぶ機会も増えた。

でもとある冬の日。どうせ今日も来るだろうと思っていつも遊んでた公園で待ってた。でもいつまで経っても来なかったから綾の家に行くことにした。

インターホンを押すがもちろんいるはずもない。

その時きた冬風が頬に伝わった。




「お前...もしかしてあの時の...」

「うん。そうだよ。」

「川岸綾なのか...?」

その瞬間綾は俺に抱き着いてきた。

「やっと思い出してくれたんだ。」

「あぁ。遅くなって悪かった。」

「二年生になったとき、偶然あなたと同じクラスになって、気づいてくれるようにアピールしてたけど。気づいてくれなかった...

でも今気づいてくれるなんて...遅いよ!健次郎君のバカ!」

綾は半分笑顔で半分怒っていた。この時俺は気づいた。

「ずっと健次郎君って俺だけ君付けだったのって...」

「うん。そうゆうこと。」

「お前ってやつは...」

俺の目から不意に水がぽたぽた滴っていた。

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