まだ伝えられないね。

「綾、ふっかーつ!」

綾は声が戻り、元気な状態で登校してきた。

「綾、元気ですね。」

加奈は返す。あいつらは相変わらずだな。



ー朝ー

「あ!健二郎君だ!おはよう!」

「おぉ!綾!おはよう!治ったのか?」

「ばっちりだよー!」

コミュニケーションが取れている。俺も成長したみたいだな。

でも俺の耳には俺とは真反対の言葉が聞こえてきた。

「今日バレンタインデーかー!」

完全に忘れてた!!!

いや。まだ、朝だから。まだ朝だから。



ー放課後ー

はあ、結局0か...

まあなんとなく想像ついてた。



ん?下駄箱に何か?

...!




チョコだ!!!!やった!!人生で初めてチョコもらった。


「よかったね!健次郎君!」

「うわあ!綾...!いたのか!」

「あ...あの...健次郎君...」

「?綾...どうした?」

バタン!綾が土下座する。

「健次郎君の家に泊まらせてください!」

「え?は?まあいいけど。」




ー俺の家ー

「ただいまー」

「お邪魔しまーす!」

「あら!あなたが綾ちゃん?」

母が聞く。

「はい!野々木綾です。一日お願いします。」

「あら!じゃあ今日はカレーにしましょっか!」

「やったー!」







ーご飯ー

「いただきまーす!」

綾...かぶりつきすごいな。

食べっぷりがやばい。

「あら?健次郎。食欲ないの?」

「いや。食べるよ食べる!」

きまじいー




ー寝るー

はあ...先に寝といてって言われたけど寝れねぇよ。あいつがいるから...寝れねぇよ。

「ただいま。健次郎君!布団入るよ?」

っ!

至近距離...!こいつに羞恥心はないのか!

「どうしたの?」

「いやぁ...なんでも!じゃあおやすみ!」




ー起床ー

「ん?いたっ!首がいてぇ...寝違えたみてぇだな。」

っ!

顔至近距離!なんか抱きつかれてる...




まあいい。たまには二度寝するか。今日休日だし。

「んん...ふわぁ...」

「おい。綾。この状況みろ。」

「うわあ!健次郎君に抱きついてる!え?やってないのに!え?無意識?」


(え?私、抱きついてたの?私好きすぎてついにおかしくなっちゃったかも...)




ん?こいつめちゃくちゃ顔赤くね?

まあいい。

いわゆる照れ隠しってやつだな。

「綾、朝食...」

振り返るともう綾は着替え終わっていた。

「早っ!」

「え?早い?これぐらいが普通じゃない?」

「馬鹿なのか?お前は?」

「でも。人によっての普通は普通じゃないのかもね。」

「健次郎君との距離が少し縮まるね。」




こんな絶壁だけど...好きなんだ。でもまだ伝えられないな。

健次郎君。



つづく

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