鉱石の山。

 かけゆくタマを追いかけて

 サクサク道を走りぬく。


 視線が度々飛んでくるが思考停止で全部無視。


 4階層から武器をもったスケルトンと、稀に石カメレオンなるモンスターが追加で出現するらしいが、出会う気配はない。


 というか探索者ばっかでモンスターと出会わない。

 一回ぐらいは武器を持ったスケルトンと4階層で戦いたかったが、これは無理そうだ。


 ここには人が多すぎる。


 人から逃げる様に走っているといつの間にか階段に到着。

 モンスターを求めてとっとと降りてしまおう。


 岩肌に手を付けながらゆっくり、ゆっくりと階段を進む。

 階層が深くなるにつれ、どんどん傾斜がきつくなる。


 ガケ下りをしているようでドキドキが全然止まらない。

 モンスターよりも階段の方が、はるかに恐ろしい。




 手に汗ベタベタかきながら、どうにかこうにか5階に到達。


 先に降りたアイアンがなにかを見つけていたようで、猫の手いっぱいに大きなキラキラ光る石を抱えている。



 「ぎゅあ!、ぎゅあ!。」



 駆けよって来たアイアンが光る石を突き出して来た。

 手に取ってみるとヒンヤリとしている。


 そしてずっしりとかなり重い。

 10kg以上ありそうだ。


 全体は銀色だが、よく見ると所々虹色に見える。

 何だか分からないがきっと高い鉱石にちがいないね。



 「おてがらだね!アイアン!。」


 「ぎゅあ!、ぎゅあ!。」



 アイアンの頭を撫でて感謝の意を示す。



 「どこで見つけたの?。」


 「ぎゅあ!、ぎゅあ!。」



 笑顔で猫の手を壁の方へと向けるアイアン。

 そのまま示した方向へピョンピョンと駆けていき、壁の中へと入っていく。

 

 10秒も経たないうちに、器用に大量の鉱石を持ち上げてスタスタと戻ってきた。

 目の前にドン!と置かれる光る鉱石の山。


 バスケットボールぐらいの鉱石が腰の高さまで積み上げられている。


 

「ぎゅあ!ぎゅあ!ぎゅあ!。」


「おお!、いっぱいあったんだ!すごいな!。」



 誇らしげなアイアンの頭をもう一度撫でる。

 いくらになるかは分からないが、これだけあれば結構な額になるだろう。

 もし凄いものだったなら幾つかは売らずに取っておき、皆の装備を作って貰うのも良いかもしれない。



 「ありがとう。アイアン。」


 「ぎゅあ!ぎゅあ!。」



 さすがにリュックでは運べないのでタマの左手で回収してもらう。


 本日分の収穫としてはこの鉱石の山だけで十分かもしれないが、

 買い叩かれたり値がつけられないという可能性もあるので、

 目標どうり8階層まで降りてちゃんと魔石も集めていこう。


 まずは4階層で戦えなかった武器持ちスケルトンや石カメレオン、この階層から出る石洗いグマがどんなモンスターなのかを知っておきたいな。



 ということで、

 またよろしくお願いします。タマ。




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