見つからない答え。

 ダンジョン準備開始。


 リュックや持ち物を確認する。

 スマホもある、お酒もある、ライセンスもある。


 忘れ物は見当たらない。ヨシ!。

 

 あと、他にやっといた方がいいことって有ったかな?

 過去の自分をかえりみて、今必要なことを探りあてる。


 あー、そうだ、そうだ。

 今探索しているダンジョンをもっと詳しく調べようと思ってたんだ。


 昨日は餡子を食べるだけで精一杯だったからなぁ………。


 意識を餡子に向けると、なぜだか体が震えだす。

 

 …止めよう。

 餡子思考、停止。



 スマホを起動し、情報を集める。

 探索者協会の公開攻略情報やEランク探索者お助けサイトによると、今探索しているダンジョンはEランクの中でも難しい方らしい。

 1、2階層から出て来る岩トカゲやソニックバットが倒しづらく、特にソニックバットはEランクで出て来ていいモンスターじゃないと評されている。


 確かに。

 あのコウモリ、いや、ソニックバットか。かなり強いもんなぁ。


 アイアンやタマがいてくれるから何とかなってるけど、自分一人では今でも倒せないもんなぁ。なんとかしたいなぁ。


 更に調べていくと不可解なことが分かる。


 3階層からの新規出現モンスターは中型の廃坑ネズミのみで、でかい蜘蛛は出現しないらしい。というか蜘蛛型のモンスター自体があのダンジョンでは出現せず、昨日の様な「ダンジョンに出現しないモンスターが大量発生する」こと自体、過去に一度も例がないとか。



 はぁ?。

 わけがわからない。



 他にも、「魔石を落とさないモンスター」で調べてみても、何も出てこない。


 こっちも過去に例がなし、なのかなぁ。

 それとも調べても出て来ないように隠されてるとか?。

 

 実際いたもんなぁ、魔石を落とさない蜘蛛。

 

 うーん………。


 腕組みし、頭をひねっていると、お酒を飲みすぎて幻覚を見たのでは?、という思考が頭に流れ着く。


 一瞬もしかしたらそうかも、と思ってしまうが、即座に否定する。


 いやいや、あり得ない。

 手元の何とかなるカードは確実に数字が減っているし、

 タマの極太猫ビームは、今でも鮮明に思い出せる。


 あの3人で過ごした経験が、夢まぼろしのはずがない。


 

 結局、いくら探しても、答えらしい答えは得られなかったので、諦めてスマホを閉じる。

 蜘蛛の大群については何も分からなかったが、今の自分達の実力なら問題なく8階層まで行けそうと分かったので、それでヨシと納得しておく。


 リュックを背負い、追いかけっこしているタマとアイアンに声をかけ、

 皆で外に出る。


 いつかは堂々と

 カボチャ姿のアイアンと、外を歩けたらなぁ。


 そんなことを思いながら、扉の鍵を閉め、

 ダンジョンへ向け、ゆっくりと歩きだした。

 


 

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