猫パンチストーム。

 ぺち、 ぺち。


 ぺち、 ぺち。


 ほっぺたに何かの感触。


 ぺち、ぺち、ぺち。


 ぺち、ぺち、ぺち。


 少し強くなる感触。


 待ってほしい、もうちょっとで餡子10tを食べきって、「餡子食べ残し罪」の罪を償い終えるんだ。だから、だから……


 ぺちぺちぺちぺち。

 ぺちぺちぺちぺち。


 嵐のごとく叩かれるほっぺた。


 いたっ!いたいって!。

 起きます!。起きますから!。



 外部からの無慈悲な刺激により、意識が強引に浮上する。

 はっと目を見開くと、目の前に黒猫。


 野良猫のハマチだ。

 ハマチが頬を叩いてたみたいだ。


 ………ん?

 よく見るともう一匹いる。初めて見る子だ。


 ハマチの隣に痩せた感じの真っ白い猫。


 

 「にゃぁ~ん。」「にゃぁ~ん。」


 「少し待ってね、ハマチ。」


 声をかけると、ピタリとなきやむ。

 体を起こし、のびをする。


 何か変な夢を見ていた気もするが、思い出せない。

 

 思い出せないが、なぜかお腹がいっぱいで、もう黒くて甘いものは向こう100年食べたくない気分だ。



 ……うえっぷ。


 

 立ち上がり、昨日買い足して置いた猫缶を、流し台の下から持ってくる。

 2つ缶を開け、お皿と紙皿に移し、2匹の前に置く。 


 ガツガツと食べ始める2匹の猫。


 スマホを確認すると朝の7時。

 少し長く寝ていたみたいだ。


 アイアンを見るとまだ寝ている。

 


「ぎゅお…、ぎゅお……。」



 苦しそうな声に顔。

 蔓がグルグルに丸まって縮こまっている。


 なんだか酷くうなされてるみたいだ。


 かわいそうなので起こしてあげよう。

 体を揺すり、アイアンの目覚めを促す。


 パッと目を開くアイアン。



「ぎゅあ!?、ぎゅあ!?。」



 ぎょろぎょろと目を動かし、こちらを見つけ、安堵したのか大きく息を吐くアイアン。



「おはよう、アイアン。」


「ぎゅあ!、ぎゅあ!。」



 笑顔で大きくいい返事だ。

 

 体を揉み解し、アイアンと戯れていると、2匹の猫がごはんを食べ終わったみたいで、こちらにやってきてハマチが一鳴き。

 


「にゃぁ。」



 そのままアイアンと机の下で香箱座りのタマと視線を交わし、2匹はどこかへと消えていった。


 白い子は今度来たら名前を着けよう。


 

 あっ、と思い出してスマホを開き、昨日の長時間配信を確認する。

 さすがに続いてはいなかった。クリアは出来なかったみたいだが、大分終盤まで進んだようだ。少し寝て、昼からの再開予定と書いてある。


 素晴らしき「出来るまでやる」の精神。


 ガッツが凄いなぁ。

 自分も見習わないと。


 行動の化身に敬意を抱き、チャンネル登録ボタンをポチリ。

 自分の応援したいという気持ちを、今できる行動で表す。

 

 よし。これでOK。

 それじゃあ、ダンジョンに行く準備でもしますか。



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