お詫びの品。

 何か食べようと冷蔵庫を開き、中を見る。


 入ってるのは酒、酒、酒。

 後は塩と梅干し。

 最後に何かに付いていた、どこからでも切れるパック調味料が数点。


 確か移しておいた最後のとろけるお肉が上の方にあるはずだけど………

 見当たらない。



 おかしいなぁ。



 ちらりとアイアンの方を見ると、そっと目を逸らした。


 この気まずそうな反応、アイアンがいつの間にか食べたのかもしれない。

 が、自分も夜中にお酒を飲んだ後、殆ど記憶が無くなってるので、…何も言わないでおこう。



 もしかしたら自分が忘れているだけで、食べたのかもしれないし。

 


 さすがに買出しに行く気も起きないので、梅干しに小分けパックのワサビと黒い何かをつけて晩酌とする。



 しょっぱくて、辛くて、すっぱくて、つーん。



 まぁ、悪くない。悪くない。


 色んな味が有るから健康には良さそうだ。


 タマが「こいつイカレてんな。」と今にも喋りそうな顔で此方を見ているが、気にしない。


 一緒に食べたアイアンは、口に入れた瞬間元の姿に戻り、頭の蔓をピンと伸ばして涙を流し始めた。



 「ぎゅぇ、、、!ぎゅぇ、、、!。」



 か細い苦悶の声。


 ………非常にキツかったらしい。


 今度からはアイアン用にもう少し甘くて食べやすいものを用意しよう。


 口直しに焼酎の梅酒割りを作り、アイアンの前に置く。

 一息に飲み干すアイアン。


 口の中で暴れる強烈な味達を流し落とすことに成功したのか、徐々に表情が良くなるアイアン。



「ぎゅあ、ぎゅあ……ぎゅあ。」



 必要のない肉体行を終えたアイアンに、心の中で拍手を送る。

 これもまた人生経験?いや、モンスター経験の一つということで。


 ご褒美に梅酒の水割りを贈呈し、自分も梅干しの喫食を再開する。



 ………タマと同じように白い目で見るのは止めていただきたい………。



 耐えがたき視線を耐えていると、机の上にいるアイアンの横に、ウインドウが現れる。


 なになに?



 入場ボーナスの不具合と緊急メンテナンスのお詫び。



 何か色々と書いて有るが取り合えず受け取るボタンをポチり。


 目の前に黄色いカプセルがコロリ。


 カパリとカプセルを開けると、中にチケットが三枚。



 ノーマルガチャチケット×3



 おお、運営さんありがとう!。

 

 感謝ついでに梅酒を一杯。

 クイッといただく。うまいっ!。


 何だか分からないがこれでガチャチケットが4枚になった。後6枚貯まったらまとめて引こう。



 その時、そうじの頭に電流走る。



 そうだ、思い出した。

 今日はダンジョンでカプセルを無限増殖してたんだった。


 タマに増殖の成果を見せてもらおう!



 「タマ、良かったら今日いっぱい出した青いカプセル、見せてくれない?。」



 頷いたタマが左手を上げ、畳の上にコロコロと大量の青いカプセルが転がり散らばる。


 やったね!

 タマ用の投擲武器大量にGET!


 これでカプセルを開けて中身が取り出せたら完璧なんだけど、と思い、試しにカプセルをカパリ。


 ノイズが走ること無く、中身が出て来る。



 ぜんかいのクスリ×1



 完璧だった。

 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る