ダンジョン6日目。

 ボヨン!


 ボヨン!


 

 お腹の上で何かが跳ねている。



 ボヨン!


 「ぎゅあ!、ぎゅあ!」



 声も聞こえるが良く分からない。


 どうしようもない程に眠たいが、何とか起きよう。


 縫い付けられた目に力を入れる。

 ギュッと閉じて、ゆっくり瞼を持ち上げる。


 目を開けると、オレンジ色のカボチャがお腹の上を飛び跳ねている。



 え~と、


 ああ、そうだ。アイアンだ。

 自分を起こしてくれたみたいだ。


 「おはよう。アイアン。」


 笑顔で飛び跳ねているアイアンを持ち上げ、横にどいてもらう。

 起き上がり部屋を見ると、祝い酒をした時のままだ。


 いつの間にか眠ってしまっていたみたいだ。


 時計を見ると既に11時30分。


 げげげっ。


 だいぶと寝てしまった。

 急いで片付けをし、ダンジョンに行く準備をする。

 

 今日も無限スケルトン周回をしようと考えていると、警察に呼び止められた時の会話が、ふっと思い浮かぶ。


『逃げ出した大きいカボチャのモンスター』


 ………


 あっ。


 

 もしかしてアイアンって逃げ出したカボチャのモンスター?


 じぃ~っ、とアイアンを見つめる。


 ご機嫌に蔦を揺らしているアイアン。



 ……

 


 違うか。

 


 アイアンは猫と同じぐらいの大きさなので大きいとは言いずらい。

 カボチャ繋がりで何か関係があるかもしれないけれど………その時はその時だ。



 せっかく仲間が増えたのだから皆でダンジョンに行きたい。

 ただ、また警察に呼び止められてしまうと、色々と話を聞かれるかもしれない。

 

 そうだ、



 「アイアンって元はタマの姿だったよね?」

 「ぎゅあ!」


「またタマの姿に変身できる?」

「ぎゅあ!、ぎゅあ!」



 アイアンが体を縦に揺らして頷く。

 目をキリッ!とさせると、さび色の煙に包まれる。


 煙がはれるとタマの姿に変わっていた。


 ヨシ!

 これで何とかなるだろう。



 リュックにバールのようなもの、ポケットにスマホ。

 忘れ物が無いことを確認し、皆でアパートを出る。


 まだ眠気が取れていなかったので、道々缶コーヒー「苦味の果実、極・無糖」を購入。

 飲んで眠気を吹き飛ばす。


 アイアンも飲みたそうにしていたので、追加でもう2本購入し、リュックに詰める。

 さすがにコーヒーを猫?に与えるのは、絵面的に外で見せられない。

 ダンジョンで休憩している時にでも一緒に飲もう。





 お昼を過ぎてしまったが、昨日と同じダンジョンセンターに到着。

 やはり人が多い。


 いつもどうり探索手続きをしていると、呼び止められる。


 ……何でも一緒にダンジョンに入るなら猫も探索パートナーとして申請が必要だそうだ。

 

 

 うん???

 


 今までタマと一緒に探索してきたが、何も言われて来なかった。


 どういうことだ?



 ………



 わからない。

 

 まぁ、いいか。

 たぶん、タマが何か不思議な力を使っているんだろう。

 そういうことにしておこう。



 言われたとうりに、アイアンを一般動物枠の探索パートナーとして申請し、探索許可を受け取る。


 警備の人達に許可証を見せ、皆でダンジョンに入っていく。


 砂利道を歩いていくこと一分。

 入場ボーナスウインドウ6日目がポップアップ。


 待ってました!


 笑顔で受け取るボタンを押し、出てきた青色のカプセルを開こうとした瞬間、カプセルにノイズが走る。


 そのまま青いカプセルは、開かれることなく、青い光の粒子となって消えていった。


 その後にウインドウが現れ、





 エラーが発生しました。





え?



………



ええええ?

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