ダンジョン反省会。
アパートよ、私は帰ってきた。
核攻撃も辞さない勢いでドアを開けようとするが、何故だか鍵が回らない。
ガチャガチャ、ガチャガチャ。
なぜだ?
ガチャガチャ。
わからん。
タマにほっぺたを叩かれ周りを見ると、自分の部屋は隣だった。
…すみません。
間違えました。
誰もいない部屋に頭を下げてから、そそくさと離れる。
自室の鍵開け判定に今回は成功し、帰宅。
「ただいまぁー。」
「にゃぁ。」
畳に腰を下ろし、漸くひと段落。
リュックから餃子を机にならべ、冷蔵庫からいつものお酒、ストローグ11と梅干しを取り出して酒盛りならぬ反省会を開始。
ぷしゅっ。
ごく、ごく、ごく。
ぷはぁ~。サイコォォォォ!
ウインドウが出てステータスの変化を報告しているが、気にしない。
活力の元を体に流し込みながら、今日あったもろもろに意識を向ける。
まず、買っていったバールのようなものは結構活躍した。
スケルトンをバンバン吹っ飛ばして、滅茶苦茶楽しかった。
ただ石トカゲに対してはリーチの短さを感じた。
踏みつけてから攻撃するのも一苦労だったし、複数匹現れると捌ききれず、必ずズボンに穴が開くのもいただけない。
やっぱり長くて足元を攻撃できる、ついでに一撃で石トカゲが仕留められるような火力を持った武器が欲しいなぁ。
冷めている餃子を口に運ぶ。
美味い。
餃子は凍って無ければ大体美味い。
まぁ、でも、一番の問題はボロボロになっていく服だから、最優先は防具かな。
結局コウモリも石トカゲも服を傷つけるだけで大したことなかったから、丈夫な防
具が手に入ったら全部無視していこう。
Eクラスダンジョンでおススメの防具をスマホで検索する。
………やっぱり高い。
一番安い魔法だか何だかで強化されたレザー装備が上下で17万。
取り合えず家賃を支払ったらこれを目指そう。
それまではタマにお願いして、無限スケルトン周回でお金を集めよう。
方針も決まったので反省会終了。
記念にもう一杯。グビッ。
タマを膝に乗せ、背中を撫でながら優雅にネットをチェック。
今日あったことを見ていくと、また襲撃事件の大毒沼に突撃した迷惑系配信者がいたらしい。
ただ今回の迷惑者は国内有数の実力者で、もしかしたら大毒沼を何とか出来るのでは?と期待されていたが、どうにもならなかったみたいだ。
配信動画を見てみると、迷惑者が大毒沼に大規模な雷撃魔法を放った所で、沼から数えきれないほどの手が生えてきて迷惑者を拘束。
多種の魔法で果敢に抵抗するも、物量に押し切られ沼の底へと引きずり込まれていった。
……二駅先は地獄のようだ。
誰かが何とかしてくれることを切に祈る。
動画を見た後、どうにもゲームをする気になれなかったので、真面目に昇級試験の勉強を始める。
2時間ほど問答を暗記し、自己採点したら9割正解していたので良しとする。
良い感じに眠くなってきたので、電気を消し布団に入る。
外でガタガタと音が聞こえるがどうせ野良猫だろう。
朧げな意識の中、何かを思い出しそうになるが、何も得られず、意識は砂のように崩れていった。
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