2階層。

 見つけておいた階段を下る。

 階段というかほぼ坂道。


 急勾配というほどでも無いが、それなりに傾斜があるので岩肌に手をついて降りて行く。


 2階層に到着。

 一階層と変わらずゴツゴツした洞窟に整備された砂利道。


 翌々考えてみればなんで洞窟の中なのに歩き安いんだ?

         なんでこんなに明るいんだろう?


 一瞬、不思議に思う。


 まぁね、ダンジョンだし、青空や透明の壁とかあったし、別にいっか。

 思考停止。

 

 疑問に思った思考は何者かの力によってかき消された。



 2階層もタマの先導のもと、探索していこうと一歩を踏み出すと、いきなり左太腿に何かが当たる。


 痛みは無かったが、何が当たったのか分からない。

 周りを見渡すもそれらしい物やモンスターが見当たらない。


 少し間を置いて、左肩にも何かが当たる。

 よく見ると当たった所の服が破けていた。やべぇ。


 3回目、4回目と胸に当たり、ボロボロになっていく服。


 男の中破状態なんてどこにも需要(当社調べ)なんて無いからやめてくれぇ!

 

 やべぇよ!やべぇよ! 


 慌てふためいていると、見てられ無くなったのか、タマが左手を上に向ける。

 肉球の中心から風切り音と共に金属っぽいものが射出される。

 

 数秒後、砂利道に落ちるなにか。

 確認すると一升瓶ぐらいの大きさのコウモリ。デカい。


 こいつが何か飛ばして来ていたんだろう。

 まだ動いていたので、頭を踏み抜いてとどめを刺す。


 黒い粒子に変わり、魔石とマキビシが足元に残った。


 タマが飛ばしていたのはこの前渡しておいたマキビシだった。

 そのまま拾い、タマに返しておく。


 「ありがとう。タマ。」


 タマに感謝の意を言葉にして伝え、探索を続行する。


 しかしそう上手くは進まなかった。


 その後も何度となく現れるコウモリに攻撃され、服やズボンが裂かれていき、石トカゲに靴を嚙み切られて既に大破状態。

 

 こんな見た目で大丈夫か?

 

 大丈夫だ。問題ない。

 (まだ逮捕はされない。)


 痛みや疲れは全くないが、外を歩いて帰れる限界に来ていたので撤退を決意。


 これ以上露出度を上げないため、タマにコウモリを避ける様に頼み、1階層へ移動。コウモリがでないことに一安心。

 

 そして今更ながらに驚く。タマの探知能力高すぎない?

 もしかしたらで頼んでみたら、一度もコウモリに遭わず、一階層へと戻ることができた。

 

 すげぇ……。

 たまさんまじやべぇっす………。


 驚きすぎて言語化能力と語彙力が欠如。

 呆然自失状態に移行。


 機能不全に陥るも、タマに叩かれて接触不良が改善。

 

 再起動します。


 ……

 


 ……あれ、何してたんだっけ?



 四半秒後、さっきまでのことを思い出し、ついでとばかりにスケルトンにだけ案内してくれるよう、跪き、タマにお願いする。


「現猫神タマ様、どうかわたくしめにスケルトンだけと戦闘する時間を、経験を、お与え下さい。」


 訝し気な表情をするタマ。

 しかしタマは優しかった。


 願いが聞き届けられ、魔石集めとコウモリストレス発散の、一階層スケルトン周回が始まった。

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