なんかどろっぷ。
殴り合いと言いながら実際は一方的な制圧パンチ。
くさい息やゲロみたいな物をぶっかけられたが、匂い以外何ともなかった。
初心者ダンジョンのボスだけあって倒すことは簡単だったがもう二度と戦いたくない。体中ゲロまみれだ。
匂いのせいか、タマの距離も遠い。
帰りにスーパー銭湯に寄ろう……。
「こんなモンスターがいるから探索者が増えないんじゃないかなぁ……。」
ぼやきながらデブキノコが落とした魔石と石で出来た仮面のようなものを拾う。
魔石はタケノコが落としていた物より少し大きい。
多分これが2級魔石なんだろう。
もう片方の石で出来た仮面のようなものに目を移す。
ぱっと見はデブいキノコの顔が彫られた石の仮面。
しかし持ち手に感じる強い痺れ。
現れる不快感に倦怠感。
わかってしまう。
これ、呪われてるやろ!
明らかにやべぇぶつだ。
このまま捨てて帰りたいが、頭の上に悪魔が現れ、優しくささやく。
「だんなぁ、きっとこれはレアアイテムですぜ。なにかすげー能力があるかもしれませんぜ。持って帰りやしょう。」
悪魔の甘い誘惑。
耐えられそうにない。
うう、持って帰ってしまいそう……。
助けて!天使様!
悪魔の反対側に天使が現れ、言葉を話す。
「そうじさん。この世にあるものは全て必要なものなのです。あなたが持ちたくないのでしたら窓口で買い取ってもらいましょう。」
おお、ありがとうございます!天使様!
天使様の言葉を信じ、持って帰ることにする。
石仮面をリュックに詰め込む。
一瞬、両方偽物という思考が流れて来る。しかしその思考を選び取ることは出来なかった。
タマに距離を取られながら、ダンジョンを出る。
ちょっと悲しい。
予定どうり夕方……よりちょっと経っているが許容範囲ということで。
窓口で魔石を買い取ってもらい、1万1300円を受けとる。
2級魔石は一個200円の買取だった。
石仮面はというと、なんでも前例がないらしく、ダンジョンセンターにある簡易鑑定装置では判別不能と出たため、専門で鑑定をやってくれるどっかのデカい所に運ばれるらしい。査定結果は一週間ほどお待ちくださいと言われた。
ちなみにダンジョンボスが太ったキノコになることは過去に2度あったらしく、その時はキノコが鞭でタケノコを叩いていたそうだ。なんかタケノコかわいそう。
珍しい出来事だからか色々センターの人に聞かれたが、ゲロまみれで早く帰りたかったし、太ったキノコの出現理由に心当たりが無かったので、何もかもみな分からないと答えておいた。
その内誰かが検証してくれる。きっと。
タマとの距離を縮めるため、スーパー銭湯に向かう。
入湯料1500円に驚くがこれも世のため、タマのため、と自分に言い聞かせ、歯を食いしばりながらお金様を支払う。
風呂に入る。ここは天国。
体から吹き飛ぶ疲労感。
あ~気持ちがええんじゃぁ~。
武器を持って来てなかったとか、ゲロまみれになったとか色々あったがどうでもよくなる。
せまりくる圧倒的多幸感。
あまりの喜びに、なすすべもなく意識を手放した。
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