明日に備えよう。
ぺし!ぺし!
叩かれてる………
ぺし!ぺし!
叩かれてる……
ぺし!ぺし!ぺし!
叩かれてる…
結構痛い……
この感じ、タマじゃない……
体に意識が戻る。
驚いて目を開く。
自分を覗き込む角刈りのおっちゃん。
がたいが良すぎる、ただものじゃない……。
「きずいたか、兄ちゃん。風呂場で居眠りは危ないけぇ。」
「あ、ありがとうございます。」
きいつけな、と言葉を残し、去って行くおっちゃん。
危ない所を助けてもらったみたいだ。
一目見た時は強面ですじもんの人かと思ったけれど、中身はただのいい人だった。
助けて貰ったことを心の中で手を合わせ感謝し、少ししてから浴場を出る。
ゲロまみれの服をビニール袋で2重に包み、リュックに詰める。
購入した替えの服に着替えスーパー銭湯を出る。
匂いも無くなり、体ポカポカ。
リフレッシュできた。余裕が出来たら今度はタマと入れる温泉に行こう。
TIPS
スーパー銭湯 手軽に湯舟に浸かれる街中のヒールポイ
ント。回復の泉。心と体の聖地。泡風呂や電気風呂など多
種多様な回復設備が備えられており非常に快適。水風呂と
サウナの組み合わせを体験すると世界が変わる。
外で待ってて貰ったタマと合流。
タマとの距離も元に戻り、安堵。
家に帰るため駅へと歩き出す。
駅に行く途中、偶然見かけた看板、ダンジョン武器専門店「塊刃」(かいじん)が妙に気になる。
そういや自分武器持ってなかったなぁ。少し寄り道していこう。
看板を頼りに道を進み、古民家を改修したであろう落ち着いた感じの佇まいのお店に入っていく。
店内もいい雰囲気。
しかし値段に仰天。
7桁を下回る物が無い。物によっては億を超えてる。すげぇ……。
良し悪しは判らないがただただ値段に圧倒される。
うん、そうだね。
ここは今の自分には手の届かない場所だよ。
即座に撤退を決意。
店員さんに話かけらられる前に無事、脱出に成功。
そのまま電車に乗り何事もなくタマと帰宅。
ゲロまみれの服を洗濯機で回し、昨日の残りのワカメを温め夕飯にする。
反省を活かすため、今日はお酒を飲まない。エライぞ!自分。
夕飯を食べながらスマホをいじっていると新着メール。
んん?
なんじゃこりゃ!
記憶にない魔法のカードの支払い通知。50000円。
詳細を確認してみると、どうも自分は昨日?推しのうるるMAXちゃんに赤スパを投げていたらしい。しかも無言で。
しまった、、、
どうして無言で投げてしまったんだ、せっかくの赤スパなんだからうるるMAXちゃんが喜ぶような言葉や同志リスナーが笑顔になれる言葉を書けばよかった……。
ああ、後悔先に立たず。
やってらんねぇ!こんなの飲まずにいられっかよぉ!
お酒に手を伸ばそうとするが、内なる神の声が頭に流れる。
「これもあなたがお酒を飲んでまいた種です。」
そうだった。
感情を抑え、手を伸ばすのを止める。
とりあえず、投げた赤スパをいつもどうりルンルンリボに支払い方法を変更。
腕を組み、色々考える。
そして決意する。
そうだな、うん。
収入UPのため、ノーマルガチャを回すため、あした、ライセンスの昇級試験を受けよう。
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