あなた みおぼえ ありますね。
帰り道もタマに案内してもらう。
殆どの時間を壁叩きに費やしたので集められた魔石も30個ぐらい。
……今日の夕飯は健康の為に梅干し一個にしよう。うん。
門をくぐりダンジョンを抜けるとそこは惨劇であった。
肩口からわき腹にかけて両断された警備員二人の遺体。
警備員さんが警備/ /員さんになってる……
35歳にもなると人の死体の一つや二つ見ているので少し驚くぐらいだったが、両断された遺体をみるのはこれが初めてだな、と独りごちる。
取り合えず警察を呼ぶことに思い至るがそういえば今日はスマホを忘れていた。
なにかしら通報が出来そうなものがないかと警備員の詰所を覗く。
そこにも既にこと切れた遺体。ものが散乱している。
スマホが落ちているのを見つけ、緊急通報する。
「もしもし、ポリスメン?……」
電話で警察に状況を説明しているとダンジョンセンターから轟音。
詰所から出てセンターを確認すると上半分が吹き飛び、大穴が出来ていた。
非常に嫌な予感。
警察からも退避するようすすめられる。
その場を離れようと身をひるがえす。
が、遅かったみたいだ。
目の前に2m以上の大剣を掲げたスーツ姿の男。目がいってる。
この赤髪でスーツ姿の目がいってる男、どっかでみたことある!でも思い出せない!
聞いてみるか。
「あの、自分、何処かであなたのこと見たことあるんですが……」
「手配書じゃね?」
狂喜の笑みと共に大剣が振り下ろされる。
避けようと意識はするが、体が動かない。
あ、しんだんじゃね? これ。
しかし大剣は飛び出したタマの左手に吸い込まれる。
驚愕するスーツの男。
空中を蹴り追撃するタマ。真っ白に光る猫の手がスーツ男に叩きつけられる。
閃光。白の世界。
凄まじい輝きで何も見えなくなる。
目が見えるようになると小さなクレーターを残し、スーツの男はいなくっていた。
取り合えず一難が去ったので、タマに感謝。背中を撫でる。
「ありがとう。助かったよ、タマ。」
満足気なタマがかわいい。
退避するよう言われてたんだと思い出し、ダンジョンセンターから逃げ出す。
そのまま寄り道せず無事に帰宅。
一息つく。タマを撫でる。
心に平穏が訪れる。
魔石は明日換金しよう。さすがに大穴ができたダンジョンセンターでは換金できないだろうから別のセンターをスマホで探す。
電車で30分程かかるが明日、自分が入れそうな初心者ダンジョンを見つける。
よしっ。明日はここに行ってお金を稼ぐ。目標決定。
少し早いけど寝ることにしよう。
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