ダンジョン二日目!

 顔を洗う。目が冴える。

 私の推し事~。ダンジョン探索~♪。


 気分良く鼻歌を歌いがら準備を進める。

 なにかの役に立ちそうなので、魔力草と中級ポーションをリュックに詰める。


 まきびしはタマが欲しそうにしていたのでタマにあげる。

      目の前に置くとタマの左手肉球に吸い込まれて行く。


 タマの左手は四次元につながってるのかな?すげぇ!

 

 今度から持てそうにない物とかあったらタマの左手に入れてもらお!

 タマの左手ってどのぐらい物が入るんだろ?というかタマの肉球さわりたいな。


 てきとうなことを考えているとタマに叩かれる。叩かれる。

 「ごめん。ごめんて。」ちゃんと準備します。


 変なことを考えるとなぜだかバレる。


 タマは自分の思考を読み取っている……?。

 タマに叩かれて喜んでるの、ばれてる?。


 まぁいっか。 以心伝心でカッコイイ!ということで。


 


 軽く部屋の掃除と洗濯を済ませ、出発準備完了。

 タマと一緒に外に出て鍵を閉める。


 アパートの階段を降りていくと大家さんとばったり遭遇。

 気まずい。ギギギ。


 掃除の手を止めて大家さんが笑顔で話しかけて来る。


「おはようございます。」

「あ、どうも、おはようございます。」


「お体の方はもう大丈夫なんですか?」

「ええ、おかげさまでだいぶと良くなりまして。ダンジョンにも行けるようになったんですよ。…なんで家賃なんですが……」


「いいんですよ、いつもタマちゃんのお世話してもらってますし。いつでもいいですよ。」


 ありがたい言葉。優しい言葉。胸が痛い。


 「ありがとうございます、でもさすがに悪いんで早めに用意できるよう頑張ってきます。」


 大家さんにペコリと頭を下げ、駅へ向かう。


 自分も大家さんみたいに年を取りたいなぁ。そういやもとは大家さんとこの猫だったなぁ、タマ。


 寄り道せず8分程歩いて駅に着く。

切符を買い、電車を待つ。通勤時間に重なったからか、サラリーマンが多い。


+

 みんな目が死んでる。


 ちょっと前の自分もこんなだったなぁ。

 「家に帰りたい。家に帰りたい。」と心の中で叫びながら、会社に通って嘔吐していた自分。

 

 湧き上がる嘔吐感。震えだす体。


 やめ、やめ。思い出すのしゅーりょー。

 

 別のことを考えて、流れてきた過去の記憶を追い出す。

 タマはかわいいなぁ。何しててもかわいいなぁ。


 体が落ち着いてくる。平穏。


 次からはもっと早めに電車に乗ろうと心に決める。


 何事もなく無事ダンジョンセンターに到着。


 許可証の発行ついでに3級魔石について受付のお姉さん神に聞いてみる。


 「あのー、3級魔石ってここだと何階層ぐらいで取れますか?。」

 「はい。こちらの初心者向けFクラスダンジョンですと、2等級魔石までしかドロップしませんので別の市にあるDクラスダンジョンに行かれるのをお勧めします。」


 は、はい?


「付け加えまして、そうじさんのライセンスですとDクラスダンジョンに入れませんので昇級試験を受験される必要があります。」


……



聞かなかったことにしておこう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る