ゲームが心を浄化する。
トイレから離脱。心に虚無。
眼に淀んだ光を湛えながらpcまで歩を進める。
終わりの見えない激闘の末、争うことの虚しさに嘆きながら、奇しくも勝利を治めた自分に、自分にご褒美を与えるのだ。
オンラインゲーム、フォードファイトを起動。
ヘッドセットを装着しログインしていたフレンドに招待を送る。
間髪入れず入ってくる友。ありがたい。
まずは挨拶。
「カケルさんこんばんは~。」
……返事がない。まぁいつものことでバグってるのかな?
数秒後、チャットでカケルから
『音声バグってるみたいなんで再起動しますね( ;∀;)』
『了解。』
もはやテンプレと化した一連の流れに安心感。
30秒後、
「お待たせしました~。こんばんは。」
「こんばんは。」
「お久しぶりですね。ソウジさん体の方はもう大丈夫なんですか?」
「あー、だいぶ良くなったんですよ。ゲーム出来るくらいに。不死鳥の如く戻ってきました!」
「それは良かった。じゃぁ……一勝負と行こうぜぇ……。(ニチャァ)」
「…いいぜぇ……。(ニチャァ)」
良くわからないテンションとノリでゲームを始める。
なんだかんだ、あーだこーだ、言いながらゲームつよつよの友、カケルが敵を全部倒し、無事最後まで生き残る。 やったぜ!
回復と弾薬配ってただけでなんもしてなかったなぁ。
まぁ、いっか。楽しかったからOK。次は芋砂ぐらいしよう。反省終了。
マッチ後、待機画面で雑談が始まる。
「カケルさんまだ仕事続いてるんです?」
「いやぁ、まだ続いてるんですよ。自分もソウジさんみたいに辞めたいです。」
カケルが辞めたいと言っているからテキトウな言葉を話す。
「自分は心の中の魔王さまに従っただけですよ。
なにゆえもがき生きるか。
退職こそ我が喜び、辞めゆく者こそ美しい。
さあ おのが喜びと共に光輝くがよい。 ってね。」
カケルがクスッと笑い、
「良い魔王様ですね。自分もソウジさんとこぐらい酷かったら直ぐに辞めれるんですけどね。話聞いた時は驚きましたよ、まさか親の葬式に参加させない会社があるなんて…。」
「今となっては自由になれる切っ掛けだったんで、逆に良かった…………とは思えませんねぇ…。」
ははは…。
苦笑。
30分程たわいもない話をし、夜も更けてきたので解散する。
ゲームに付き合ってくれて、話に付き合ってくれてありがとう。
PCの電源を落とし、簡単に周りの物を片付け、寝る。
就寝。
朝。
息苦しさを感じて目が覚める。
顔の上に重量感。タマだ。タマが顔に乗っかっている。
タマを持ち上げて横に置き、起き上がる。
なにか、夢を見ていたみたいだ。しかし思い出せない。
ただ、涙が溢れて来る。 しかし思い出せない。
思い出せないならしょうがない。
「まぁ、いっか。」
取り合えず、自分の喜びのため、ダンジョンに行く準備をしよう。
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