第14話:海人vs健太決着
「やめなさい2人とも!海人ここで騒ぎを起こしては問題になりますよ!」
「そうよ。島から出れなくなってもいいの!」
瑞穂と刹那は戦いを止めようとしてきた。健太はもともと海人に良い感情を持っていない。海人を害する気でいるのは見え見えであった。
「こいつの言っていることは最もだ。俺が守られながら島で3か月生き延びたを思われればまた島に戻されるかもしれん。そんなのはごめんだ。」
「いい度胸じゃないか。俺に勝てれば強くなった証明にはなるぞ。不可能だけどな」
海人は改めて健太を見た。以前の自分ならどうあがいても勝てる相手ではない。だが今の自分なら問題ではないはず。そう考えていると健太は取り巻きから木刀を受け取っていた。
「木刀で戦うつもりか?真剣でもいいんだぞ」
「自惚れるなよ。お前なんかこれで十分だ。いくら無能者でも殺したら俺が罪に問われるだよ。お前は好きな武器を使っていいぞ」
健太はニヤニヤしながら木刀を向けてきた。負けるなんて欠片も思っていない顔だ。
「なら俺は素手でいい」
「あん?舐めてるのか?本気で殺されたいのか!」
「好きな武器を使えといったろ。だから好きにするさ」
「・・・ぶっ殺す!全身の骨を砕いてやるよ」
健太は怒りの顔を浮かべて切りかかってきた。圧倒的に格下と思っている相手にプライドを傷つけられたのだ。完全にブチぎれていた。
「(遅い・・・)」
海人は冷静に健太の動きを見ていた。その動きは緩慢な上に単調な動きで力ずくで振り下ろしてくるだけの斬撃だった。何度も木刀が振り下ろされたが余裕でかわすことができた。
「(この程度か・・・心氣を使う必要もないな)」
正直、心氣錬成を使うか悩んではいた。相手の実力次第では使わざるおえないかと思っていたが思っていた以上に弱い。それとも自分がこの島での生活で想像以上に強くなっていたのか。
「・・・刹那どう見えますか。海人の実力は?」
「・・・正直まだ底が見えないけど強くなってる。氣の流れが以前とは比べ物にならないくらい穏やかだしコントロールできてる」
刹那は一族の若手の中でも随一の使い手であった。それだけに今の海人の実力に直に驚いていた。
「そうですか。思った以上の成長を遂げてくれたようですね」
「どんな修行を積んだのかな。あのよく判らない2人に教えてもらったのかな?」
「そうかもしれませんね」
「というかあの2人どうするの?本当に連れて帰って大丈夫なの?」
「・・・わかりません。ですが止めた場合は強硬突破してきそうな雰囲気はありました」
「・・・多分あの2人強いよ。暴れられたら止められないかも」
「頭の痛い問題が増えましたね・・・」
瑞穂は海人の戦いに視線を戻した。彼には島に来る前では考えられないほどの自信に満ち溢れている。戦いを楽しんでいる節すらある。彼を島から出すことで多くの問題は発生するだろうが、自分の護衛役をまかせるには頼もしさすらあった。
「(生きのびてさえいてくれれば良いと思っていましたが、ここまで強くなるとは)」
自分の言うことを今後聞いてくれるか不安はあったが、今は海人の成長を喜んでいた。後は何事もなくこの戦いが終わってくれれば何も問題は起きない。
「・・・くそっ!ちょこまかと逃げ回りやがって!!」
「お前が遅すぎるからだ。攻撃する気にもならない。もう終わりか?
「もうキレたぜ!お前に焔木の技を見せてやるよ!!」」
健太の全身の氣が高まった。何か技を出す気でいる。海人はワクワクしていた。人間相手に自分の力を試すチャンスはほとんどなかった。やっとこれで試せそうだ。
「焔木流!朧蓮華(おぼろれんげ)!」
健太の姿が歪んだ。その場には立っているがうっすら透けて見えるような。そう思った瞬間、後ろに殺気を感じた。振り向くと剣を振りかざした健太が立っていた。朧蓮華は蜃気楼のように自分の分身を作り、自身は姿を消すことで相手に奇襲をする技だった。達人であれば分身だと気づけないほど精密な分身を作るが、技が未熟な健太ではあれが精一杯だったのだろう。とはいえこの技を知らず虚をつかれた海人は流石に戸惑った。
「(後ろを取られた!攻撃するしかない!!)」
海人は一瞬でそう判断し、手に氣を集めて手のひらで木刀を受け止めた。
「焔木流!焔腕(ほむらかいな)!」
「ぐぶぉぉぉおお!!?」
木刀をつかんだ瞬間に至近距離で爆発が起き健太はゴロゴロと転がっていった。
焔腕は海人が独自で編み出した技で、簡単にいえば手のひらに集めた氣を暴発させるだけの技である。もともと暴発させることが多かった海人だが、氣をコントロールできるようになり一部だけを暴発させることが可能となっていた。
「・・・やっちまった。生きてるかな?」
健太は至近距離の爆発をモロに浴びたため全身が焦げ全身をピクピクと震わせていた。特に顔のダメージがひどく全体が焼きただれていた。
「まあ生きてるならいか。俺の勝ちでいいよな?」
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