第6話:心氣顕現

焔木の奥義。『心氣顕現』。




焔木一族の中でも一部の人間にしか扱うことのできない最高難易度の技。自身の氣を武器にと変換させる技であった。この奥義の修練を受けられるのは焔木一族の上位技を会得した者だけであった。




「俺もよく知らないが、心氣顕現は焔木の技すべてを会得できた者でないと習得できなのではないのか?」


「順番通りならな。この奥義には強大な氣の量と精密な氣のコントロールが求められる。お前は氣の量だけは馬鹿げた量がある。というより異常な量だ」


「だが精密なコントロールができないから俺は毎回暴発しているのでは」


「そこは確かにまだ修行が必要だが、おそらく大丈夫だ」


「なぜそう思う?」


「お前の身体から流れる氣の流れを見ればわかる。馬鹿げた氣を抑えるのに無意識に普段は費やしているがコントロールできている。お前が暴発していたのは生半可は武器や呪符ではお前の氣に耐えられないからだろうな。だがそれに耐えられる武器を顕現できればお前は自由に力を扱える」




海人は桐生の話を信じられない想いで聞いていた。この力をコントロールできれば俺はこの島で生き抜き自由を得られるかもしれない。




「まあ一族の奴らがお前を鍛えられなかったのも無理はない。すべての基本を飛ばしていきなり奥義を教えなければ強くなれない奴など前代未聞だろうからな」




「・・・」




「まだ迷っているのか?儂もそこまでお人よしじゃない。奥義を身に付ける気がないならここに置いていくぞ」


「・・・あんたはなぜこの島に送られたんだ?」


「心氣顕現を身に付けるためにわざと罪を起こして送られたのさ。儂は焔木では免許皆伝となったがお前と違って氣が少なくてな。心氣顕現までには到達できなかった。だからここにきたのさ」


「どういうことだ。ここにいたら氣が増えるのか?」


「そうだ。ここは異世界といっていいほど氣が大気に充満している。ここで生活し、ここの魔獣や植物を食べ氣を増幅させたのよ。10年はかかったがな」


「・・・やはり変人だな」


「かっかっか。だが充実した生活を送れてる。戦う相手にも困らないしな」




海人はこの桐生という人物のことがわかってきた。かなりイカれた戦闘狂なということ。己を高めるためんなら外部との繋がりを切ることなどどうでもいい人物だということを。




「頼む。俺に心氣顕現を教えてくれ!」


「よかろう。だが教えるといってもやることはシンプルだ。自身の氣を圧縮して武器にするイメージを固めろ」


「イメージするだけでいいのか?」


「そうだ。だが膨大な氣を武器の形に圧縮させるのが難しい。それができれば己にあった武器を顕現できる。儂のを心氣顕現を見せてやろう」




桐生はそういうと両手に氣を集めて集中しはじめた。




「心氣顕現!紅蓮剛鬼 (ぐれんごうき)!!」




凄まじい氣が高まりを感じたと思うと桐生の手に一つの刀が握られていた。


血のように真っ赤な刀であった。




「これが心氣顕現なのか?」


「そうだ。実体化しているが儂の氣を元に作られた刀だ。ちなみに顕現させた刀には特殊な能力がつくことがある。儂は能力持ちだ」


「どんな能力なんだ?」


「それは言えんな。自分の能力は自慢げに人に話すことではない」


「それもそうか。すまない馬鹿なことを聞いた」


「かっかっか。運が良ければどこかで見れるかもな。さあやってみろ」


「い・・・いきなりか?」


「お前は氣だけは十二分にあるんだ。今やって見せたことをマネればいい」


「わかった・・・やってみる」




海人は目を閉じて手に武器を持つイメージをした。武器はもちろん刀をイメージした。それ以外の武器は使ったことがないし使い慣れた武器が一番と考えたからだ。しばらくすると海人の手に剣らしきものが


顕現し始める不安定であった。




「ぐ・・・うぅ・・・」


「おいおい・・・こりゃヤバイな」




桐生は目を見開いていた。とてつもないエネルギー量をもった武器を顕現され始めていたからだ。




「(こいつは一体何者なんだ?こんな氣を生まれながらに持ってるとは本当に人間なのか?)」




バシュッ




顕現され始めた武器は途中で霧散した。どうやら顕現まで力をコントロールできなかったようだ。




「失敗だ。やり直しだ」


「まあ頑張れよ」




海人はもう声が聞こえてないのか顕現の修練に集中し始めていた。


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