第8話 ゲームの里への道

「という訳でゲームの里、西のアキバを目指すのはどうでしょう?面白そうだと思うんですが」


商店街会議の中、皆うーん、と苦しげな表情をしている。


「割と皆ゲーム好きでしょ?商売にしてみましょうよ、元々遊びのある商店街だったし」

「それはそうだが…お金はどうする?」

「何とかしましょう。銀行に融資を受けるとか」

「そうねえ、銀行ねえ」

「顧客を創造する。今ある需要を取るよりも未来にある需要を、顧客を創造することで取るんです」

「そうだなあ。虎太郎どう思う?」

「俺はありだと思いますよ。何より面白い」

「面白いねえ…金がなあ」

「金はある程度あれば充分じゃないですか。これからは儲けるためにではなく顧客を創造するための投資だと思えばいけるかと」



ゲームソムリエという資格について説明しよう。


近年のゲーム需要の高まりから自然と求められるようになった資格であり、その名の通りゲームを鑑定し、人との相性を見る資格である。その人のやりたいゲーム、使える時間、お金、持っているハード、年齢等を考え、その人に一番いいゲームをオススメする。


ゲーマーからすると一番いい資格のようだが、難関になっている。はっきり言うと難しい。合格率は何と5%だった。


ゴロウは元々ゲームが好きでゲーマーだったが、そのゲームソムリエの資格は難しくて、一度挫折している。当時はやれることを増やしたいし、割と濃いゲーマーなつもりだったので受けたが不合格だった。


そしてその資格にまた挑むことになった。



「おーい、勉強頑張っているか?」

「虎太郎先輩。まぁまぁですね」


お土産を持って虎太郎先輩が現れた。


「そうかい。お前が失敗したら今回のゲームの里も台無しだからな。絶対に受かれよ」

「もちろんですよ!完璧に備えます」

「これ、差し入れの大福。甘いものを摂れ。頭に良いからな」

「ありがとうございます!いやあ気が利きますね」

「調子に乗んなよ。何とかなったのは俺が説得したからだからな」

「もちろんですよ。これは落ちられませんからね」

「そうだ、絶対受かれよ」

「はい!もちです。大福だけに」

「はは、まあ、いいだろう」

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