第11話 むくろの都市:ブレウラーケ②
――――三人称を書くのが辛くなってきたのでここから1人称を混ぜます――――
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【語り手:レイズエル】
色んなことをしていたらもう20日目。
薬草取りや狩猟は、昔を思い出してとても楽しかった。
みんなとも仲良くなって、すっかり旅行気分だ。
さてその夜の深夜番は私とイザリヤだった。
何だろう、森の奥に強い存在感を感じる………
じっと森の方を見つめていた私を気にしてイザリヤがじっと私を見ている。
「イザリヤ、森の奥が気になる………」
私はイザリヤに小さな声で声をかける。
ちなみに今の野営地は森に隣接する平原だ。
森から出て来そうにはないんだけど………
「『勘』か?危険なのか、行った方がいいのか、放置かどっちだ」
「行った方がいい感じ」
危険なのではなく、引き寄せられる感じだ。
一行の護衛は「大丈夫だと思う」の一言でとりあえず放棄した。
私たちは、私が指し示す方向に森に分け入ってゆく。
すると、木々の間に開けた草地が広がっていた。
その広場には
口からパチパチボウボウと炎を吐いていて、何かを思い出す………
そうだ!紅龍(夫)だ!(おい)
それはおいといて、馬と言っても、通常の3倍はあるであろう巨躯だ。
ここまでで出会ったモンスターとは格が違う。
馬は普通ではありえないことに、仕留めたらしい鹿をむさぼっていた。
馬って草食じゃなかったっけ。うん。そのはず。
それが余計に紅のイメージを強めて紅龍を思い出す。
だが金紅馬はこちらに気が付くと猛々しく咆哮し、こちらに襲い掛かってきた。
私たちに向かって角を向けて突進してくる金紅馬。
イザリヤは突進をそのまま受け止め、ヴァンパイアの怪力で角を掴み、そのまま投げ飛ばす。馬は背を地に向けて落下してくる。
それならと私はは仰向けで落下してくる金紅馬に全力で『念動』をかけ、仰向けで大地に固定する。
念動で縛られ、暴れるに暴れられない金紅馬の喉に、イザリヤが容赦なく剣を振り下ろそうとする。
((待って、待ってくれ!もう攻撃しない、何でも従う、だから!))
―――命だけは―――金紅馬からの必死の念話が私たちの頭に届いた。
((私たちに従うの?従順な乗騎になれる?))
((助けてもらえるのなら))
「どうする、イザリヤ?名をあげる役には立つんじゃない?」
「そうだな………だが誓いは立てて貰おう」
((お前、名前は何という))
((
((ならクリムゾン、今からお前はレイズエルとイザリヤの従順なシモベとなる事を誓うか?))
((命を助けて下さるなら誓います))
((なら助けましょう(よう)))
誓いを聞いて、念動で固定していたのを解除してやり問う。
誓いを破ってもクリムゾンが死ぬだけだからね。
((そう言えばあなた種族は?))
((トリプルホーンホースです。最近ではめっきり同族を見かけなくなりましたが))
クリムゾンが起き上がって質問に答えた。
さて、ジーンたちの野営地に戻ると、彼らは2人を大慌てで探していた。
それが唐突に森の奥から出て来て、トリプルホーンホースを従えている私たちに仰天している。アーケが驚いて
「トリプルホーンホース!絶滅が危惧されている魔物です!それにこんな色は見た事がありません。お2人に従っているのですか!?」
と聞くので、私たちは何があったか説明した。
「テイムしたに近いけど、知能の高い相手しか従えられないのが欠点かな」
と捕捉を入れる。私たちはテイマーではないのだから。
実態はテイムではなく、悪魔との誓いの契約なのだ。
アーケが目をキラキラさせているので、イザリヤと一緒に乗せてみたり。
「すごいなあ………あっ、今回のこれでパーティ名を作ればどうです?」
「ああ………(そんなものもあったな)」
「「
「では、それで」
帰り道は何事も無かった。
クリムゾンを先頭に立てて進んだら、全くモンスターが出てこなかったのだ。
クリムゾンを先頭に立てて進んだら、町の入口で大騒ぎになって「テイム」してあるモンスターだと(本当は違うけど)納得させるのに時間がかかった。
アーケたちは先に行っているといって、アーケ宅への道を私たちに教えて帰って行った。
私たちは冒険者ギルドにパーティ名の登録に行く。
これから私たちのパーティ名は「金紅」だ。
登録はあっさり通り、私たちはアーケの家に行く前に昼食を取った。
それと、クリムゾンを捕らえたせいだろう、レベルが5、上がっていた
私たちのレベル:LV15 HP1100、MP1100
だが………
「まずいな………」
「どうした、レイズエル」
「いやな予感がする。勘じゃなくて予感だから必ず当たる」
「どんな予感だ」
「早く帰らないと彼らの身が危ない。いや、もうこの時点で手遅れかも」
「………クリムゾンに乗って、急ごう」
クリムゾンに乗って指定された住宅―――かなり大きい―――に行ったけれど、私は髪が逆立ちそうな嫌な予感に苛まれていた。
「開けるぞ」
開けた瞬間、むせかえるような血の香り。
私たちは扉を細く空けてするりと中に入り扉を固く閉める。
通りのやじ馬に見えないようにだ。
((クリムゾン。誰も通すな))
((了解だ、主様))
クリムゾンを置いて先に進む。
玄関から近い正面のリビングの扉には、悲惨なものが貼りついていた。
エテナさんだろう、首なしなので服装で判別するしかないけど。
体には四肢に抉れたような傷があり。大の字に扉にめり込んでいる。
血の量からして失血死だろう。
普通怯えるものだが、あいにく魔界では人間の肉は食用だ。
血もヴァンパイア(私は元だけど)には食欲しかそそられない。
「美味そうだな………もとい、蘇生するか?」
「ホントに美味しそう………いや、他の三人を見つけてから決めましょう」
この状態の死者蘇生は難しい。
とりあえず他の4人を見つけてから決めることにした。
ジーン、ゾンバ、アミルは地下室で見つかった。
薬草の搬入をしていたのだろうが、彼らは地下室の前で並んで座らされていた。
首なしで。
個人の判断がついたのは装備のおかげだ。
ついでにまた食欲が出たのは置いといて。
―――イザリヤなんか一人ぐらいいなくなっても良くないか?と言っていたがもう血は首から出きっているからやめとけ、と説得した。
「………どうも下手人はおかしな趣味があるようだな。トロフィーの収集か?」
「蘇生にはあったほうがいいんだけどねぇ」
「事情が話せる奴を、誰か蘇生するか?」
「それならエトナさんでしょう。アーケちゃんに死の神レイルロードの召喚への橋渡しをやってもらいたいから、彼女を助ければ恩が売れる」
「なるほどな、じゃあ時間が経つほど成功率が下がるからさっさとやるぞ。手伝う」
「ありがと、了解」
エトナさんを壁からはがし
「まずはリペア(死体は物なので『
かけると、頭部以外の損傷が回復する。
これは頭部が術の効果範囲内にない事を意味する。
やはり犯人が持ち去ったと見るべきだろう。
頭部がないと、蘇生魔法を手間をかけて儀式魔法化しないと蘇生しない。
「イザリヤ、儀式陣描くの手伝って。はい、私の血を固めたチョーク」
「はいはい………おい、ここはどう描くんだ」
「八望星」
「分かった」
2人でややこしい魔法陣を玄関ホールに描いていく。
最後にエトナさんの遺体を中央に配置して………
呪文を唱え、最後に『力ある言葉』を口に出す。
ちなみに呪文は力を増幅するために使う。
必ずしも必要ではない。
「儀式魔法:神聖魔法<星女神アステラ>:蘇生」
エトナさんの首の所からぶくぶくと泡が吹き上がり、首が頭が生成されていく。
最後に魔法陣は光を放って消え失せ、そこには生まれたままの姿のエトナさんが。
息をしているか確認ついでに、適当な部屋から持って来たシーツをかけてあげる。
「ううん………はっ!ここは?奴は!」
立ち上がろうとして眩暈を起こしたエトナさんをイザリヤが支える。
「大丈夫、あなたは私が蘇生させたのよ。残念だけど下手人はいないわ」
彼女はぺたん、と座り込んでしまう。
「アーケ様は………?」
「死体は無かった。さらわれたと見るべきね」
「死体を操るのに必要だと言っていた………私は扉の前に立ちふさがったのだが相手にもされず、このざまだ」
エトナさんの話を聞くだに死後、エトナさんは扉にはりつけにされたんだろう、でないと扉は開かないから。
「アーケは『知ってる人』だから『ロケーション』で居場所が分かるわ。助けに行ってくるからここで待っていて」
「私も!私も連れて行ってくれ!」
「足手まといだからダメだ」
「あなたとやり合った「奴」とやらが出てきたらどうするの?」
「………」
「「奴」とやらの見た目を聞いておこうか。仇は必ず取る」
「革鎧を着た少年で………やけにジャラジャラいうビーズか何かのマントをつけた両刀のナイフ使いよ」
「わかった………それと落ち着いて聞いて欲しい。ジーン、ゾンバ、アミルも地下室で首なし死体になっているけど、帰ってきたら必ず蘇生させるから」
「!!!」
「私たちを、信じてくれる?」
「わからない………でもすがれるのは、あなたたちだけだ」
「必ず帰ってくるから。アーケちゃんを連れてね」
「はい」
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