第7話 第二王子

 あれから、あっという間に2日が経ちました。


「久しぶりだね、アイリスさん」


「え、は、はい! お久しぶりです!!」


 私の目の前に座るのは、金髪碧眼の男性。

 身長は185センチ程でしょうか。

 身体付きは、細身。しかしながら、しっかりと鍛え上げられているのが服越しにわかります。


 煌びやかな服を纏っていますが、第一王子のそれとは違ってイヤミったらしくありません。

 まさしく、絢爛優美。

 第一王子のそれが服に着られると評するのに対し、彼のそれは服を着こなすと評するべきでしょう。


 そんな彼の顔はかなり美男子……なのですが、左半分を覆う痛々しいヤケド痕が。

 ですけれど、それを混みしてもかなりの美男子です。


 彼こそは第二王子。

 私と婚約破棄をした第一王子の、弟になりますわ。


 ちなみに、お久しぶりと私は言いましたが、彼のことは全く覚えていません。

 ……もしかして、王城でお会いしたことがあったのかもしれませんね。

 ……申し訳ない気持ちで、胸がいっぱいですわ。


「はは、いいんだよ。無理に話を合わせなくても」


「あ、あはは……」


「アイリスさん、あなたは僕のことを覚えていないね?」


「……ごめんなさい、その通りです」


「謝らなくても、構わないよ! 出会ったのは幼少期の頃だから、覚えてなくても当然だしね」


 自分が不甲斐ないです。

 記憶力には自信があるのですが、彼のことは全く覚えていません。

 ……情けないですわね。

 こんな自分が残念で仕方ありません。


「……ごめんね、こんな不気味なヤケド男が急に訪れて。迷惑だったよね」


「い、いえ! そんなことありませんわ!」


 本心を吐露すると、本当に迷惑ではなかったです。

 何故だかわかりませんけど、彼に出会った瞬間……抱いていた安心感が倍増しましたから。


 確かに彼のヤケド跡を初めて見たとき、ほんの少しですけれど……ギョッとしてしまいました。

 ですけれど、それも一瞬。

 彼と少し話しただけで、安心感が復活したのです。


 ……何故だかわかりませんが。

 ……非常に不愉快ではありますが。

 ……第一王子の言っていた、「運命の相手」という言葉が脳裏をよぎりました。


「そう言えば、何故王子様は私の元を訪れたのですか?」


「それはその……」


 モジモジとしだす王子様。

 なんでしょうか、言いづらいことでもあるのでしょうか。


「……アイリスさん」


 深呼吸をする王子様。

 そして、彼は────


「あなたのことが好きです。ぼ、僕と……婚約してください!!」


 と、衝撃的な発言をしてきました。

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