第114話渚ちゃん。有難う。

渚ちゃんが僕に謝っている。そして、感謝の言葉も掛けてくれた。僕の為にわざわざ戻って来てくれたのか? 有難い事だけど、こんなじゃ駄目だ。ダメダメだ。渚ちゃんに気を遣わせてしまって如何する。さっきの僕の態度に心配してくれたんだろう。


「渚ちゃん。有難う。いつも渚ちゃんは僕を心配してくれているね。だけど、僕は大丈夫。それに僕は僕に出来る事しか出来ないからさ。僕に出来る事を精一杯やるだけの事さ!」


新葉は気遣いしてくれた渚ちゃんに感謝の言葉を述べた。


「良かった。いつもの新葉君だ。心春ちゃんの事で動いてくれて本当にありがとう。心春ちゃんねー。本当に新葉君に感謝しているんだよ。新葉君はそう思わなかったかもしれないけど、私達は皆んな感謝してるのよ。樹君も明るくなって良かったって心春ちゃんも言ってたのよ!」


渚ちゃんは僕の為に必死に喋っている様に見えた。


「渚ちゃん。有難う。僕に言う為にわざわざ戻って来てくれたんだね!⁈」


新葉はお礼を言った物の言った言葉に顔が真っ赤になった。渚ちゃんも僕が言った言葉で顔が真っ赤になった。


「えっと、わざわざって言うか、新葉君に早く伝えなくちゃいけないと思って来たので、謙遜しちゃう新葉君には感謝しても返って、困惑してしまうと思ったの。考え過ぎちゃうんじゃ無いかと思って、そのきっかけが私だと駄目だと思ったの!」


渚ちゃんは恥ずかしさを隠しながら、一生懸命に喋る。僕はそれが分かるのでとても有難いと思った。


「いつもいつもありがとう。渚ちゃんはいつも優しいんだね!」


新葉は恥ずかしくても、ここまで言ってくれる渚ちゃんに感謝する。僕は勘違いしてしまいそうだ。僕を高く評価してくれる。信じてくれる。温かい言葉を掛けてくれる。僕に好意を持っていてくれているんじゃ無いかって、そんな事は無い筈なのに! 幼馴染で過ごして来た僕達だから、僕に言い易いとか頼み易いとかあるんだろう。僕の好きと渚ちゃんの好きは違うだろうけど、僕は勝手に期待してしまっても良いのだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る