第111話このクラスメート全員で仲良くやって行こう!

教室のドアが開くと、担任の杉浦先生が入って来た。


「昨日、何処に行ったんだよ。学校に行く電車では無く、反対に向かう電車に乗って何処に行ったんだよ。俺は知ってるんだぞ!」


樹君は先生を見るなり、怒号を言う。


「何だ。何だ。樹君は具合が悪くて休んだんじゃ無いのか?」


クラスメートが騒ぎ出した。


「朝陽君も早退して、先生も反対側の電車に乗るとか、なんか怪しいよね⁈」


クラスメートの中でも疑い始める生徒が出て来た。


「陽翔君。どうなの。何があったの?」


結愛ちゃんが陽翔君を問い詰める。


「おい、樹。余計な事言うな。俺らが仮病使ったのがバレちまったじゃ無いか?」


陽翔君が白状する言葉を口に出した。


「お前達。昨日、私の事で休んだり、早退したりしたのか? どうしてだ。私は昨日自己の用事で休ませて貰ってはいたが、お前達に心配される事では無いぞ。私の事で、学校を休んだり、早退したりしたら駄目だろう。もう、休む事はしない。用は済んだんだ。休んだりしないから、お前達もこんな事は二度とするな! 良いな!」


「!」


杉浦先生は生徒達に口出しをさせない様な強い言葉を口にする。生徒達は黙り込んだ。樹君も不服そうだったが、何も言わずにいた。杉浦先生も杉浦先生で口に出して言った事を約束した様にそれ以来学校を休む事は無くなった。先生は授業が終わると何事もなかった様に教室を後にした。だが、教室では生徒達はそうは行かなかった。三人を囲み、昨日の事を根掘り葉掘り聞き出していたのだった。僕も当然その話に聞き耳を立てていた。


「樹君。先生の何を疑ったの? 何で電車に乗るまでの事を考えたの? 何が知りたかったの? 普通にただの用事だったんじゃ無いの?」


クラスメートの子が疑問に思って聞いて見ると、樹君は顔を真っ赤にして、言い放つ。


「別に何でもねーし。先生が普通に学校に来るんなら、別にそれで良いし、何もねーから良いだろう‼︎」


樹君は聞かれた事に恥ずかしがり、そっぽを向いて喋った。


「ま、このクラスメート全員で仲良くやって行こう!」


陽翔君は改めて宣言した。

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