第107話樹君の行方。
ここまで話をして来た中で、朝陽君は少し、陽翔君に気を許したか、朝陽君は言葉を掛けようとするも、
「陽翔君。実は僕も余り、言える事が無いんだ!」
朝陽君が言い終わる頃には樹君の家に着いていた。
「樹君。いるかい。話をしよう」
二人が声を掛けると、樹君の家の人らしいお婆さんが出て来た。
「おや、どうしたんだい。樹ならまだ、学校へ行っている筈なんですが、あなた達は学校じゃ無いの?」
「あっ、今日は学校が早く終わる日だったんです。樹君何も話していませんでしたか? 実は僕、学級委員長の黒崎陽翔と言います。初めまして、樹君に先生から言伝を言い使ったので来たんです」
陽翔は咄嗟に嘘出鱈目を言い退けた。
「あら、そうだったの。大変だったでしょう。わざわざ来てくれてありがとうね。だけどね、樹はまだ帰って来ないのよ。折角来てくれたのに…………………‼︎」
「あっ、そうですか? なら、きっとどっかですれ違ったんでしょう。有難う御座います。僕達で探して見ます! それでは失礼します」
今度は朝陽君が誤魔化した。二人は樹家から離れた。
「何処に行ったんだろう?」
二人は辺りを探す。暫く、探し回る。いつの間にかこうしているのが当たり前の様になっている。
「そうだ。駅に行って見よう!」
「そうしよう。行きそうな所へ行って見よう!」
二人は駅にも行って見た。だが、何処にもいなかった。駅員さんにも聞いて見た。
「ああ、そう言えば、小学生位の男の子が乗り遅れたとかで、自転車で血相変えて走って行った子がいたなー!」
「「樹だ」」
二人は早速電車に乗って、樹君を探す。二駅目に樹君の姿を見て、そこで二人は降りた。樹君は自転車を前に置き、木のベンチに横たわっていた。
「樹」
「樹君」
二人は樹君に声を掛ける。
「どうして、二人がここに⁇ 学校は⁇⁈」
樹君は二人がここに来た事に驚く。
「樹こそ、どうしてここにいるんだ。探したんだぞ!」
陽翔君が少し、怒り口調で諌める。
「!」
樹君の顔が曇る。
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