第101話樹君のメッセージ⁈

新葉は朝陽君に言うだけの事は言った。後は朝陽君が心を開いてくれるのを待つだけだった。ただ、樹君に対しては気に掛かっている。


「樹君。君は本当に今のままで満足しているのかい。朝陽君と友達になって貰えるのは正直嬉しい。だけど、樹君が樹君で無くなってしまった様な付き合い方は一緒にいて疲れないかい?」


新葉は心配の余りに余計な事を聞いてしまった。


「君は俺を何だと思っているんだい。大暴れするだけの不良かなんかと思っているのかい?」


「あ、いや。違っ、違う。そう言う意味じゃ無いんだ。いつもの活発的な樹君が樹君に思えない気がして、心配になるんだよ!」


「そうかよ。でもな人は変わるんだよ。大人になって行かないとな!」


「樹君はそう思うんだね。うん。分かった。君がそれで良いんなら、それでいいんだ!」


「なあ、新葉君。最近、俺達随分やたらと自主学習が多いと思わないかい。それは先生がいないからだろう。それは何かあるんじゃ無いかな⁈」


樹君が意外な言葉を口に出し、僕はハッとする。確かにここの所確かに先生が来なくて、自習が多いのも事実だ。学校では挨拶を交わしている。だから、学校には来ているのだ。けれども、授業には出向いて来ない。と言うかは自習を勧めて戻って行く。何をしているかはわからない。


「確かにそうだね。樹君の言う通りだ。おかしいよね?」


「この学校は何かある。おかしいと思わないか?色々!」


「樹君は何か思う事があるの?」


「先生の様子がおかしい気がする。普通の会議と言う感じには思えないんだ!」


樹君は先生を探ろうとでもしているのか?それとも学校を探ろうとでもしているのか?


「樹君は何か気付いた事でもあるの?」


「それが…………………!」


樹君の口が閉じた。確かに何か言おうとした筈だ。何を言おうとしたのだろう。樹君が僕から、目を逸らし確かに誰かを見た。樹君の表情が曇り、その場から、離れて行った。僕は樹君がさっき、目を向けた方向に僕も目を向けた。すると、そこには朝陽君が立っていた。

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