第100話僕はまだ、やるべき事をやって無い‼︎

男の子達も女の子達も樹君の行動に注目していた。全く静かになってしまった樹君。クラスメートの中では逆に気味が悪いとまで、思われてしまう始末だった。


僕達も樹君を心配しつつも見守る程度の事しか出来ずにいた。けれど、新葉はまだ、やるべき事をやって無い。樹君に先を越されてしまった。僕が朝陽君を友達として取り込む事だ。それが仲間達の願いでもある。ダメ元でやるべき事をやるしか無いのだ。


「朝陽君。僕はさ。本当は君達と友達になりたい事を言いに来たのだけど、そう上手く行かない事は知ってるんだ。それとは別に朝陽君はどうして、樹君と友達になろうと思ったの?」


「君の知っている通りだよ。樹君と約束したんだ。樹君が釣り勝負に勝ったら、僕達と友達になるって君も知っている筈だろう?」


「僕が聞きたい事はそう言う事じゃ無い。君は何故樹君と釣り勝負をしたの?」


「樹君が望んだ事だよ」


「それなら、僕が釣り勝負で勝ったら、僕と友達になってくれるの?」


「君はそれと違うだろう。このグループを勝手に抜けて行ったのはそっちだろう?」


「陽翔君と友達になって見ようとか思わなかったの?」


「思った事もあるさ。思った事もあるから駄目なんだよ!」


「樹君とは友達になっても良いと思ったから、友達になったの? それとも、騙そうと思ったの?」


「何でそんな風に聞くんだい?」


「いや、ごめん。樹君を友達だと思ってくれるのなら嬉しいよ!」


「樹君は静かに過ごしたい僕達の意思を尊重してくれているよ!」


「樹君は楽じゃ無いんじゃ無いかな? 陽翔君は友達になる価値が誰よりも高い。みんなが欲しがっている位置にある。その、陽翔君が君達と友達になりたがっている。これは凄い事じゃ無いかな? 少しは陽翔君の事を信じてくれないかな! 陽翔君が壱平君達を大事な友達と見ているのは二人を見ていれば、分かるはずだ。朝陽君も二人と仲直りして欲しい。僕達はいつまでも君達が入って来てくれる事を待っているよ。歓迎するよ。陽翔君の事も受け入れて欲しい。頼むよ!」


新葉はダメ元で言うだけの事は言った。

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