第96話新葉君。何があったんだ。

朝陽君達三人が学校の方へと戻って行った。今、残された四人は顔を見合わせていた。何があったのか訳も分からない陽翔君は口を開いた。


「何かあったのか? どうなっているんだい?」


「僕達も来たばっかりだから、さっぱり分からないのだけど、樹君が釣り勝負を仕掛けて、樹君が勝ったらしい。樹君が勝ったら、朝陽君と友達になるって約束してたらしくて、朝陽君が連れて行ってしまったって事だよ」


壱平君が知った事だけを話した。


「へっ。どう言う事、釣り?勝負⁇」


陽翔君は言われてもピンと来なかった。


「新葉君。一体どうなってるんだい?」


陽翔君は続けて聞く。


「僕が来た時にはもう既に勝負をしてて、樹君は釣りをするのは初めてらしくて、一匹も釣れずにいたんだ。僕が樹君にアドバイスしたら、直ぐにメキメキと上達して行って、勝負に勝ったんだ。樹君は自分がネックになっていると思ったと思うんだ。樹君と友達になりさえすれば、後は弊害も無く、普通に受け入れると思ったと思うんだ。僕も樹君に心から応援したよ。だけど、そうじゃ無かった。樹君は自分のせいだと思ってこの勝負を持ち掛けた見たいだけど、朝陽君の手のひらで踊らされていた様です」


新葉は事の成り行きを話した。


「あいつは馬鹿かよ。だからって、朝陽君にノコノコ着いてちゃって、どうする気なんだよ!」


陽斗君は歯痒さに苛立った。


「新葉君。僕達も帰ろう。皆んなが心配している」 新葉は背中を押された様に陽翔君の言葉に従い、学校の方へと、戻って行った。先に着いた朝陽君達は三人で友達していた。樹君が勝ったにも関わらず、まるで負けた勝負の様にすっかり、朝陽君達のペースで動いている。一方、僕達の方ではクラスメート達が心配して、僕達の周りを囲んだ。樹君がいなくなった事で、クラスメート達が僕達ジューフレンのメンバー含めて陽翔君の元へと来やすくなったせいか、クラスメート達は僕達の友達の中へとどんどん来る様になった。何やら、僕は複雑な気持ちになった。

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