第94話陽翔君。樹君を止めて下さい。

樹君達が釣り勝負をしてる中、クラスメート達の中では大騒ぎになっていた。偶々、授業が先生不在の自主ルームになっている事を良い事に学校を抜け出してしまっているのだから無理も無い話である。陽斗君と壱平君は四人が戻って来ない事を心配して、樹君が勝手に行動する事を陽翔君に知らせた。


「やっぱり、こう言う事になるんだ。だから、言ったでしょう。あの四人を入れちゃあ駄目だって、問題を起こすと思ってたんだ。樹だってそうだ。一匹狼にして置けば良かったんだ。これは新葉君が人を増やし、事を大きくしたんだ。そうだ、彼が元を作った。彼がこの問題になった元凶を作った。早く捨てた方がいい。クラスメート達だって、皆んな言ってるんですよ。陽翔君を取られたって、良いんですか? クラスメートの事を裏切る様な真似をして、放って置きましょうよ。奴等の事なんて!」


大翔君は陽翔君にけし掛ける。


「君は何言ってるんだ。同じクラスメートの事だぞ! 放って置ける筈が無いだろう。友達なんだぞ!」


「僕は認めていません。他所の学校から来た子達だからと少し、優しくしてやれば付け上がって、樹を手懐けたからって何だって言うんだ。僕達元校の方が大事に決まっているじゃ無いですか?」


「ああ、勿論その通りだ。だけどな、僕には君見たくに放って置く事なんて出来ない。同じクラスメートを放って置く事なんて僕には出来ないんだよ。僕はクラスの委員長だ。皆んなを見る役目がある。そこをどいてくれ、大翔君。そこを退け‼︎」


陽翔君はいつに無く威圧差をぶちまけた。大翔君はただただそこに佇み、肩を落とした。陽翔君は二人の後を追った。追っては見たものの、見当も付かずにいた。ただ、外を闇雲に探していた。先に行った陽斗君と壱平君は朝陽君の書いた紙を見付けていた。


「壱平君。これ」


「これは朝陽君の字だ。間違い無い。これはここに吊るして置こう。きっと、この紙は陽翔君が見付けてくれる筈だ。それよりも勝負と書いてある。早く向かおう。新葉君もこの紙見たかも知れない。一緒にいてくれると良いのだけれど!」


二人は先に向かった。

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